かぶとむし日記

映画、音楽、本の感想を中心に日記を更新しています。

テレビ・ドラマ「はだしのゲン」を見る

はだしのゲン(1) (中公文庫コミック版) [ 中沢啓治 ]
20代のころ、マンガの「はだしのゲン」(中沢啓治作)を読んで強い衝撃を受けました。夢中で10巻を次々読みました。


家にあったマンガ「はだしのゲン」は、その後二人の子どもたちも繰り返し読んでいたようです。戦争について、原爆について、特別子供たちに何かを伝えたことはありませんが、「はだしのゲン」を読んで、うちの子供たちは何を感じたことか。



ドラマ「はだしのゲン」は、原作をかなり忠実に描いていた、とおもいます。


注】:後編になると、時間的な制約のためか、原作との相違や、エピソードの省略があったようにおもいましたが。


原爆で爆死してしまう父を演じた中井貴一は、いつになく気丈夫な役柄で、「日本が勝てるわけがない」と豪語し、非国民の烙印をおされます。子どもたちは、父の反戦的言動のため、学校の級友、教師、隣人からいじめられ、一時は父を恨みもしますが、亡くなった父の言葉が正しかったことを、次第に実感していきます。


ゲンが原爆投下のなかで生きながら、未来に希望を失わなかったのは、世間からなじられても屈せず、反戦を貫いた父の存在が勇気を与えてくれたからでした。


悲惨なものがたりですが、子どもたちは生命力に満ちて明るいし、どんな状況でも逞しく生きていきます。それがために、内容のわりに、見たあとはあたたかい感動が残りました。

「日本が見えない〜戦時下の詩と夢・竹内浩三」


ringoさんから映像をお借りして、見ることができました。番組は、戦時下に生きた竹内浩三という青年を、現在の若い人の視点から親しみやすくスポットをあてています。


ぼくにとって番組最大の収穫は、竹内浩三を世の中に紹介した実姉の<こう>さんを見ることができたことでした。高齢ながらかくしゃくとし、しっかりと竹内浩三の想い出を語る姿は感動的でした。


竹内浩三は、世の中をわたるのが不器用な青年で、軍隊生活に自分をあわせるのにひどく苦労しました。ゲートルをうまく巻くことができず、軍事教練できちんと整列行進することができない、銃の手入れがうまくできない……そのたびに上官の制裁を受けました。


彼は反戦主義者ではありませんが、映画と音楽と文学が好きな、争うことの苦手な青年でした。必死に戦うことを祈願しながら、どこかでこの戦争が壮大な空夢だったら、と願っていたはずです。軍国時代がどれほど、彼の神経をすり減らしたか、想像するとせつないおもいがします。


番組は、竹内浩三のことを簡潔に振り返ることができました。いい番組を見せていただき、ringoさんありがとうございました。