Hatena::ブログ(Diary)

::SOUL:: :ブラック・ムービー:Black Movie: このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter


↑私の本家サイトです↑
ブラックムービーが満載...な筈

観た映画全てではありませんが、ブラックムービーを中心に、なるべく最新作品、
そしてどうしても書きたい作品を中心に書いております。
99%自腹でお金払って観ておりますので、とても自由に書いております。
映画の邦題は私が観た・書いた当時のものです。
その後に日本公開となったりDVDが発売されて邦題がついている作品もあります。
「こちら」でリンクしてある私のサイトで最新情報を確かめてください。

最近はニュースや予告編等はツイッターが早めかも?訳す時と訳さないでRTだけの時もありますが...
なので若干古めの記事もあったりかもですが、ご了承くださいませ。

*映画秘宝6月号にて『ムーンライト』&ブラックムービー最前線について寄稿させて頂きました。(4/21/17)
*『ムーンライト』の劇場用パンフレットに寄稿させて頂きました。(3/31/17)
*映画秘宝3月号秘宝ベスト&トホホ10&ドラマ・オブ・ザ・イヤー2016に参加させて頂きました。(1/21/17)
*別冊映画秘宝2016年版 この映画を見逃すな!にて『バース・オブ・ネイション』、『コンカッション』、『マッド・ウォーリアーズ 頂上決戦』について寄稿させて頂きました。(11/21/16)
*サイゾー12月号の映画特集にて黒人映画最前線について寄稿させて頂きました。(11/18/16)
*映画秘宝11月号にて黒人ヒーロー5選と『ブラック・パンサー』とTVアニメ版『ブラック・ダイナマイト』について寄稿させて頂きました。(9/21/16)
過去記事

直接質問のある方はこちらこちらへ!分かる範囲で答えますので、お気軽に!

May 26, 17 I Am Not Your Negro / 日本未公開 (2016)

I Am Not Your Negro / 日本未公開 (20

この映画に出会えた感謝『I Am Not Your Negro』

ジェームスボールドウィン黒人文学界の宝。ボールドウィンの半自伝的『Go Tell It on the Mountain / 日本未公開 (1985)』は大好きだ。「ソニーブルース」や「ジョバンニの部屋」など数々の名作を遺したボールドウィンだが、脱稿出来なかった本がある。それが「Remember This House」。著名な公民権運動家であり、そしてボールドウィンとは個人的な親交もあった友人、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師マルコムXとメドガー・エヴァースとの回想録だった。どうしても30ページを超す事が出来なかったという。『I Am Not Your Negro / 日本未公開 (2016)』はその未完成な本に残された言葉と共に、その当時ボールドウィンTVなどで語っていた映像を元にボールドウィンを追っていく。

友人3人は自分よりも年下で、順番からいうと自分が先なのに、揃って40歳を迎える前に暗殺されてしまった事を随分と悲しんでいた。この映画で物凄く好きなのが、ボールドウィンキング牧師マルコムを語る所。2人は全く違うバックグランドを持つけど、死が近づくにつれ次第に同じポジションに近づき、そして同じになった。という部分。これ、私、学生時代比較文化論だったかな?文化人類学だったかな?(学生時代が昔過ぎて何を取ったのかすら覚えていない)の論文で同じような事を書いて物凄く褒められた。ジェームスボールドウィンは、そんなキング牧師マルコムXの丁度真ん中位なんだとも思った。

映画好きの母やおばに連れ添って沢山の映画を見たと言うボールドウィンは、映画スター名前を出して具体的に黒人差別問題点を語っている。映画ファンならとても分かりやすく、すんなりと入ってくる。Stepin’ Fetchit(ステピン・フェチット)Willie Best (ウィリー・ベスト)Mantan Moreland (マンタン・モアランド)を見て、彼らは嘘をついて品位を落としていると語る。『They Won't Forget』という映画で、黒人俳優クリントンローズモンドが演じた男が、無実にも関わらず罪をかぶせされている姿を見て、自分の父と少し同じだと思ったという。ゲイリー・クーパー映画ネイティブを殺しているのを見て、なぜかクーパー応援している自分に気づく。あのネイティブこそが、自分の姿なのに。白人暴力を使ってもロマンチックヒーローとして崇められた。しかしそれ以外が暴力を使うと野蛮人だと言われる。白人西洋思考が進み、白人崇拝している日本人にこそこの映画を見て貰いたいと、切に思った。

60年代映像で、キング牧師白人学校に通おうとする黒人学生の周りのピケットサインを見て今と変わらないと思った。「Race mix is Communist!」(人種混合は共産主義!)とか、トランプ支持者のサインと大して変わらない。「○○は、共産主義!」というなんでも共産主義にしてしまう考え方。

そして最後ボールドウィンの長いモノローグ。「俺はニガーじゃない。人だ。もし貴方が私がニガーだと思うならば、それは貴方が私をそうする必要があるからだ。貴方が考えるべき問題。この国の白人が考える問題。もし私がニガーだとするならば、それは貴方たちが作り出したのだ。貴方たち白人が作り出したのだ。なぜか考えて欲しい。そしてこの国の未来は、その問題を尋ねる事が出来るのかに掛かっている」。そして流れるケンリック・ラマーの「The Blacker the Berry」。Institutionalized manipulation and lies,  Reciprocation of freedom only live in your eyes...(制度化された操作と嘘、自由の返報はあなたの瞳にだけに生きる)

この映画に出会えた事に感謝する!

I Am Not Your Negro / 日本未公開 (2016)(5点満点:1549本目)

May 22, 17 LA 92 / 日本未公開 (2017) (TV)

LA 92 / 日本未公開 (2017) (TV)

映画やアイス・キューブと共に見てみる1992年のLA暴動『LA 92』

ロドニーキングへの暴行ビデオからまり、その加害者である警察官たちの無罪判決によって始まった一連の出来事を、人々はLA暴動というけれど、黒人、とりわけLA黒人は「暴動」という言葉回避しているように思える。このドキュメンタリー映画タイトルも「LA 92」。敢えて暴動という言葉使用していない。『Undefeated / アンディフィーテッド 栄光の勝利 (2011)』にてアカデミードキュメンタリー賞を受賞したTJ・マーティンダニエルリンゼイコンビによる最新ドキュメンタリー作品サンダンス映画祭で上映された後、一般的にはナショナルジオグラフィックにて放送

この映画1965年に起きたワッツ暴動から歴史を遡る。当時のニュースキャスターが伝えるワッツ暴動。当時のLA市警署長ウィリアムパーカーは、「動物園サルのようだ」とその暴動嘲笑した。そして時は経ち、湾岸戦争終結した3日後の1991年3月3日ロサンジェルス近郊にて車のスピード違反で止められた黒人ロドニーキング警官4名から暴行を受けた。それを目撃しビデオに残したのが、ジョージホリデイホリデイが撮ったビデオCNNなどを通じて全米を駆け巡った。暴行で膨れ上がった顔と目をやられて血で赤くなった眼球に、ティーザーで火傷した身体...などを見せられた黒人側は怒りを露わにした。しかし「ビデオという証拠があるのだから今度こそは正義は味方するだろう」とも思っていた。

しかし...次の年になる1992年4月29日に言い渡された4人の警官たちの評決は「無罪」だった。黒人たちはそれは仕組まれたものだと理解した。色々な理由をつけて事前に裁判所白人住民が88%であるシミ・ヴァレーに移したのが大きかった。

元々、黒人側の鬱憤は随分前から明らかにされていた。N.W.Aが1988年に発売した「Straight Outta Compton」の「Fuck the Police」にその怒りは代表されている。N.W.Aメンバーのアイス・キューブは続くソロデビューアルバム「AmeriKKKa's Most Wanted」の中でも「Endangered Species」で警告している。なにしろアイス・キューブは『Boyz N The Hood / ボーイズ’ン・ザ・フッド (1991)』に出演し、LAに蔓延る暴力的鬱憤体現してくれていたじゃないか

そしてこの時、なぜに韓国系vs黒人になったか?というのもちゃんと記録映像だけで説明している。もちろんその背景にはロドニーキング暴行時間からたった13日後に起きたラターシャ・ハーリン殺人事件がある。アイス・キューブは、この事も暴動になる前の1991年10月セカンドソロアルバムDeath Certificate」の中の「Black Korea」で両者の確執も語っていた。そして映画Menace II Society / メナース II ソサエティー/ポケットいっぱいの涙 (1993)』では、ラターシャ事件の結末を真逆に描いてみせた。

このドキュメンタリー映画は、音楽や当時を知る人のインタビューなどのドキュメンタリー映画ありがちな味付けを一切回避している。記録映画という名に相応しい、ただ残っている記録ビデオ編集しただけなのだが、それが余計に当時の臨場感を感じる事なる。いま、そこで起きているかのような感覚

そうすると流石にレジナルドデニー路上トラックから引きずり出され暴行を受けた男性)への暴行や、店舗での略奪の映像を見ると、LA暴動LA Riot)ならぬ「LA蜂起(LA Uprising)」だとは言い難い。だがしかしLA混乱・不安LA Unrest)だったと痛感する。

しか黒人の人々はあの時、絶望的だったのは間違いないが、それでも何か変えようと居ても立ってもいられない状況であった事も手に取って分かる。思い思いのプラカードを手にし、中にはマルコムXTシャツを着ていた人も居た。映画Malcolm X / マルコムX (1992)』の公開はもうこの暴動が治まった1992年11月だが、映画制作から随分と話題になっていて、先に原作となっているアレックスヘイリーの「マルコムX自伝」が1988年から売り上げが300倍に跳ね上がっていたのだ。その影響も随所に映像からは伺えた。

そして映画は冒頭の1965年ワッツでのニュースに戻る。一語一句の全てが1992年LAに当てはまった。フレデリックダグラスは「我々は現在と将来に役立つ為に、過去関係しなければならない」と語った。過去から学ばない者はまた同じ過ちを犯すという事。今、アメリカで起きている無数の無実の黒人警察の手によって殺されている事件も、あの1965年ワッツニュースを伝えるニュースリポーターとまた同じな気がしてならない。最近アイス・キューブでは映画では面白おかしくやっているが、2008年アルバムRaw Footage」では「Why Me?」という曲で銃の被害者となった人々の事をラップしている。噂では2017年アイス・キューブ新譜が出る予定だ。今度こそ彼らの声を聞いて欲しい。しかしあの人がアメリカ大統領である限り、また過去から学ぶ事は無さそうだという絶望しか見つからないのだ。

LA 92 / 日本未公開 (2017)(5点満点:1548本目)

May 17, 17 Live Cargo / 日本未公開 (2017)

Live Cargo / 日本未公開 (2017)

美しい海に浮かぶバハマが色々と台無し!『Live Cargo』

ターコイズブルーの美しいカリブ海の浮かぶバハマ舞台作品バハマでも小さい島が舞台。TVシリーズ『Atlanta / アトランタ (2016-Present)』や映画Dope / DOPE/ドープ!! (2015)』等で活躍中のラキース・スタンフィールド(キース・スタンフィールド名義もある)が出演。実はこれ自分ホームページに載せるかどうか結構悩んだ。監督脚本白人のローガン・サンドラーという人で、ラキース・スタンフィールドは2番手・3番手辺りで主役という訳でもない。でもバハマ舞台だし、ロバート・ウィズダムという人が好演していたので載せた。

ルイス(ラキース・スタンフィールド)とその妻ナディーンバハマについた。妻ナディーンの知り合いロイ(ロバート・ウイズダム)が2人を迎える。ロイは島の有力者。ルイスとナディーンバハマに来た理由は、出産したばかりの赤ちゃんが死亡し、少しでも悲しみを癒し、そして2人の仲を取り戻す為だった。島には身寄りもない白人の男マイロンが居て、島でルールを破るドウボーイの元で働いていた。ロイマイロンに気を掛けていた。マイロンはナディーンが気になっている。ナディーンが綺麗なのもだが、島で唯一の白人同士というのもあると察する。ルイスとナディーンが益々すれ違っていく。そして島にはハリケーンがやってきた。

これね、残念な事に全編モノクロなんですよ。もうそこが本当に残念で残念で... インディ映画なので、個性的なのは分かる。モノクロでこの映画雰囲気や趣や緊張感を出したかたったのもよーーーーく分かる。でも100歩譲っても、せっかくのバハマの美しい海を綺麗なカラーで観たかった!というのが本音。逆にカラーの方が効果的だっただろうなーと。嗚呼あんなに美しい海なのに嵐で荒れちゃって...とか、嗚呼あんなに美しい海なのにこんな酷い事が...と、もっと悲観的に思えただろうなーと。

話もね、最後結局あれで良いのか?と思ってしまうんですよね。ルイスとナディーンにとっては良かった事かもしれないけれど... うーーーーんと悩んでしまうね。嗚呼良かった!とは私は決して思えませんでした。タイトルLive Cargo=人の密輸でも分かるようにバハマ社会問題にも取り組んでいるんですが、それも何だかスッキリしないんだな。

嗚呼美しくて熱い情熱的なバハマを感じたかった!ね?シドニー・ポワチエ大使!!!バハマポワチエ故郷で以前は日本の特命大使)同じバハマ舞台なら、『Rain / 日本未公開 (2008)』の方がバハマの事をもっと知れるし、美しいし、断然に面白かった!

Live Cargo / 日本未公開 (2017)(3.5点:1547本目)

May 16, 17 The Immortal Life of Henrietta Lacks / 日本未公開 (2017) (TV)

The Immortal Life of Henrietta Lacks

細胞も貢献も怒りも死なず『The Immortal Life of Henrietta Lacks』

2010年に発売されベストセラーとなった「The Immortal Life of Henrietta Lacks(不死細胞ヒーラ ヘンリエッタラックス永遠なる人生)」を映画化。というか、その本にするまでを映画化。この話が映画化される時に読んだ映画プロットを読んでも正直言ってピンとこなかった。は?意味不明と。映画観てやっと「なるほど」と。

原作本や映画タイトルにもなっているヘンリエッタラックスは、ラックスの家族によるウェブサイトによれば、1920年バージニア州南部集落に生まれた。結婚し、5人の母となったが、1951年子宮頸癌他界。その時に採取された彼女細胞が、医学界で革命的な物となる。彼女名前頭文字を取ってHeLa細胞と呼ばれる細胞は、今も死なず(Immortal)増え続け、ポリオワクチンを生み、文系の私には到底理解出来ない程の様々な実験検証で今も貢献しているという。

が、しかし... そんな事になっているとは、ラックスの夫や子供たちは知らなかった。何しろ彼女の体の一部が採取された事すら聞かされていなかったのだ。彼女が行った病院ジョンズ・ホプキンス病院は、医学界のハーバード大学みたいな所。アメリカ医学権威中の権威だ。家族はその事実を知らされていない事を、黒人から蔑ろにされたと思っている。恐らく99%そうであろう。ラックス家族何となくその事実を知るが、なんの手立てもない。しかもそんな凄いスーパー細胞であるヘンリエッタの遺族はその恩恵を全く受けていない。なぜか見知らぬ人たちだけがその恩恵を受けて財を増やしていく。そして遺族は理由も聞かされず、採血される。そんな時に現れたのが科学雑誌や本などのフリーランスライターレベッカスクルート黒人大学の名門モアハウス大の協力を受け、ラックスの子孫を突き止め接触。遺族はスクルートの事をホプキンス大の回し者だと思い、拒絶する。何しろ細胞については嫌な思い出しかないのだから。で、そのスクルートと遺族の間の葛藤などを描き、本「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタラックス永遠なる人生」が完成するまでが描かれている。

スクルートを演じたのが『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』等で知られるローズ・バーンバーンの独特の軽さ・軽快さが、この映画を辛気臭くしなくて好演。そして泣く子も黙る黒人芸能界ご意見番オプラ・ウィンフリーヘンリエッタラックスの娘の1人デボラを演じている。面白いのが彼女が首から下げているキーチェーンには「WWJD」の文字。WWJD=What Would Jesus Do(神ならどうするか)という事。如何にも南部のおばちゃんがしていそうなキーチェーンだ。でもそれだけで、彼女敬虔クリスチャンである事も分かる。みんな良かったが、シーンスティーラーはヘンリエッタの遺族の1人ザカリヤを演じたレグ・E・キャシーだ。新しい方の『ファンタスティック・フォー』でストーム博士を演じた人。この人は『Pootie Tang / プーティ・タン (2001)』以来、私の心を鷲掴みにしている。今回もラックス家の放蕩息子を怪演。

しか案の定ヘンリエッタの遺族の1人で長男のローレンスは映画には否定的プロデューサー枠を用意したけれど、それも拒否し、映画も見ていない。ローレンスは「ホプキンス病院搾取され、そしてオプラにも家族物語搾取されるとは」と怒りを露わにしている。

ヘンリエッタ細胞が多くの人々の命を救ったように、いつかヘンリエッタの遺族も報われる時が来る事を願わずはいられない。

The Immortal Life of Henrietta Lacks / 日本未公開 (2017)(4.5点:1546本目)