Shin Yamagata

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えらく畑が厳重に囲ってあるなと、丹後半島に行ったときに思ったんです。
イノシシでもでるのかなと思っていたらサルでした。
観光地のサルとは違って、人間を見ると慌てて逃げます。
母ザルは子ザルをすばやく無造作に拾い上げて、
奇声を上げながら山の中にサッと身を隠します。
そんな中で一匹だけ動かずにこっちを睨んでくるサルがいたんです。
ケンカをうっていると僕は受け止め、戦うことを決意しました。
なんといったって、僕は人間です。道具を使える動物です。
サルの武器はきっと爪と歯くらいのものだと思いました。
特に歯は注意しなければならないと思いました。
僕にも歯はあるけど、サルには負けそうですし、爪も切ったばかりで伸びていません。
やはり、人間として道具を使うしかないと決断しました。
この決断には0.2秒くらいしかかかっていません。
その間もサルとの睨み合いは続いています。
いざとなったらこのカメラを振り回してやろうと思い、
右手で握っていたカメラをストラップに持ち替えました。
そしてブラブラカメラを振りながらサルと睨み合っていました。
サルは動かず僕を睨んでいました。
僕はちょっと弱気になりました。負けるかもしれない、と。
なので、左手に持つ武器のことを考えました。
何かないかと左手でズボンのポケットを探ると、原付の鍵がありました。
これだ、と思いました。
鍵の先っぽを握りこぶしからちょっとだけ出して、
ギュッと手をグーに握りました。
これでサルの目を突いてやると決断しました。
無敵になった気分です。
そして、僕は目に力を入れ、サルを睨みつけました。
サルは動かず、睨んでいます。
こうなったら、先制攻撃しかないと僕は決断し、実行することにしました。
まず、僕はその場で両手を広げました。
そして、「キィィィー」と奇声を上げながらサルに突進していきました。
サルはビックリする様子もなく、普通に歩いて、山の中に戻っていきました。