Shin Yamagata

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12月7日

秋口に桜の木の下に小さな糞が転がっているのをよく見かける。頭上を見上げればモンクロシャチホコの幼虫が葉にびっしりついている。その幼虫が美味しいと、読んだ本に書いてある。ほんのりと桜の香りがするらしい。検索してみるとおいしいという記述ばかりだ。揚げるよりも茹でた方が桜の香りが残ると書かれている。しかし揚げてカリッとしたのならまだしも、茹でてふんにゃりとした毛虫はどうなのか。毛虫なのだから毛はどうなるのか。揚げてパリパリとした毛はわからなくもないが、茹でた毛はどうなのか。口に入れたときに毛が舌にまとわりついてきたらと思うと茹でたのはちょっと……と思ってしまう。さらに糞をお茶にして飲むとも書いてある。これまた桜の香りが漂ってたいへん美味しいと。そこから蚕の糞のことも知ることになる。抹茶アイスの緑色は蚕の糞だ。抹茶アイスを食べるたびに蚕の糞を食べていたのだからモンクロシャチホコの糞をお茶にして飲むのもなんら抵抗を感じない、ということにはなかなかならない。