映画の日!

 4月はとにかく忙しかった。自分の引越しと実家の引越しが重なり、これだけ体を動かした日々は近年なかった(と思う)。しかも両親の新居(一応、軽井沢)に行ってみたが、憧れの田舎暮らしの実態は、4月になお雪が降り、朝は牧場のにおい(牛のあのニオイ)がした。まあ私が住むわけじゃないからいいんだけれど、こちらでの残務整理はを手伝うハメになった。これではせっかくの映画の日もムダに終わるかと思えたが、夕方から体があいたので久々に南大沢で映画をみた。「Vフォー・ヴェンデッタ」と「プロデューサーズ」の2本。
 「Vフォー・ヴェンデッタ
 「マトリックス」の製作チームがつくった革命エンターテイメントムービーってことらしい。近未来のイギリスは独裁国家になっていて、それを変えようとするVという謎のガイ・フォークスお面の男(ヒューゴ・ウィーヴィング)の復讐劇とたまたま彼に助けられたイヴィー(ナタリー・ポートマン)のほのかな恋愛ドラマにアクションが重なって、何でもありのストーリー。でもそんなストーリーよりこの映画の見所は頭刈られたナターリーポートマンであり、変なところにまでこだわった映像である。スタイルだけで映画をつくれるという好例であり、スタイルだけでそこそこ観れてしまう、そこそこ楽しめてしまうということを実感した。(そういう楽しみ方ができるメディアって映画しかないので、それなりに評価しているつもり。)蛇足:映像にあそこまでこだわるなら、ビッグ・ベン破壊のテーマ曲は1812じゃなくて威風堂々だと思った。

 「プロデューサーズ
 映画の作り手にはユダヤ人が多いとよく言われるし、スピルバーグなんかそういう文脈でよく語られるけれど、私は実はそれほど普段は作り手のユダヤ人性とか気にならない。(というかよくわからない。)だけれど強いて言うなら、ウッディ・アレンメル・ブルックスの笑いにだけそれを感じる。個人的にはウッディ・アレンの笑いのほうが好きなんだけれど、「プロデューサーズ」の1968年版を昔みたことがあって、そのコテコテの自虐的ギャグを大いに楽しんだので、今回のリメイクもすごく楽しみにしていた。そして実際みて、これこれ、これなんだよと思った。
 作品をコケさせてばかりいるプロデューサー・マックス(ネイサン・レイン)が会計士・レオ(マシュー・ブロデリック)が「ショーがコケると配当金を払わなくてすむのでもうかる。」という何気なくいった一言で、史上最低のミュージカルで大もうけをたくらむというストーリー。史上最低の脚本に史上最低の演出家、そして素人プロデューサーにレオを抱き込んで、マックスのたくらみ通りに進むかにみえたが、予想に反して作品は大ヒットしてしまうというストーリー。
 1968年版との大きな違いは、往年のミュージカル映画を意識した映像だ。映画化のあとでブロードウェイで大ヒットしたので、今回の映画は舞台により近い映像になっているなと思った。有名なナチスのラインダンスのシーンはオリジナルのほうが好きだったかも。でも映画みながら時に空回りする笑えないコテコテのギャグ連発の中で、ああやっぱりこういうメル・ブルックスが最高だなと思った。(まあもちろん「エレファント・マン」や「ザ・フライ」なんかの製作もいいんですけれど。)あと今回は最低ミュージカルのゲイの演出家役のゲイリー・ビーチとその恋人で助手役のロジャー・バートが面白かった。と思ったら、この二人は舞台のオリジナルキャストだったんですね。どうりで、うまいはずだ。特にロジャー・バートはもっと観たかったな。