ジミー・ペイジを見て、考えること(1)

レッド・ツェッペリンに関する書籍や記事を漁ると、必ずセックス、ドラッグ、破壊行為、酒、煙草のことが書いてある。確かにジミー・ペイジはコカイン所持で2回逮捕されているし、相当やったみたいだというのは分かる。女関係も派手だったみたいだし、酒はジャック・ダニエルをラッパ飲みしている有名な写真があるし、来日の時の傍若無人ぶりは伝説である。

しかしそれは事実として、一番大切なのは、音楽に対しては純粋であり真剣だったということだ。ジミーの言葉でいえば「全身全霊を傾けていた」のである。そうでなければ、ただのゴロツキである。

私は六万円以上したJimmy Pageという本人編集の豪華写真集を持っている。この中の、とくに若い頃の写真は、だいたい「口をぐっと引き結んでいる」写真が選ばれている。それらをずっと見ていくと、本人がこれらの写真を意図的に選んだことを考えれば、若い頃ジミー・ペイジは、何かを成し遂げようとして必死で歯を食いしばって頑張っていたのだ、というメッセージが伝わってくる。

酒を飲み麻薬をやり乱交パーティーをやったとしても、そこにジミーの本質はなかったのだ。彼は音楽をものすごく大切にしていた。いつも音楽への情熱がすべてのことの上にあった。だから最終的に、麻薬で死なずに済んだのではないかと私は思う。

それにしても麻薬は相当きつかったみたいで、抜け出すのはたいへんだったようだ。抜けたと思ったら首の太いオヤジになってしまって、それはそれで困ったことだった。しかしとりあえず、現在のペイジはとてもいい感じの白髪の紳士で、とうとうクスリも酒も煙草も断って健康そうである。

昨年のRoy Harperの誕生日記念コンサートで、アコースティック・ギターをRoyと一緒に弾いているYouTubeがある。美しい白髪を上品に後ろで束ねた長身のジミーが、静かにRoyに挨拶して座り、一緒にギターを弾き始める。なんとも美しい旋律が二人のギターから流れ出す。そこにRoy Harperの歌声がかぶさる。すばらしくステキである。

この美しい歳のとりかたを見ると、とうていジミーがそんなにクスリ漬けで自分を見失うほどだったとは思えないのである。いや、自分を見失った時もあっただろうけど、音楽にそれが出てしまっているとは思わない。

なんだかんだ言って、若い頃暴れたとしても、夢中になって追求してきたものがあったなら、ジミーのように歳をとることはできるのではないかと思うのだ。というかジミーはとても頑張ったのだ。唇をかみしめながら。