十和田市現代美術館

設計:西沢立衛(2008年)
所在地:青森県十和田市西二番町10-9



念願の初訪問。
この美術館を核として「官庁街通り全体を美術館と見立てる」という全体コンセプトに沿って、展示室は分棟型として敷地が面する官庁通り側をガラス張りとしたホワイトキューブを配置し、通りから見るとアート作品のショウケースのようになっている。美術館に入らなくてもこれらの作品は鑑賞可能で、向かい側の草間彌生のアートワークがある広場とあいまって素晴らしい通りの雰囲気を作り出している。独立した展示室群はガラス張りの通路で緩やかに接続されており、迷路を進むように展示室間を回遊できる。
街に開いた美術館という意味では金沢21世紀美術館と共通するが、金沢は敷地内にガラス張りの真円を設け、正面の無い360°街に開いた美術館を提案した。ガラス張りだがそこには美術館の中と外という概念は存在した。また敷地という境界ももちろんあり、敷地に足を踏み入れて初めて来館者はアートに触れることとなる。この十和田は敷地の境界はあるのだけど、その敷地をまたがなくてもアート触れることができる。その代わり金沢のような建物と展示室との間の回廊空間の曖昧さのようなものは無い。金沢が公園の中の美術館だとすると、十和田はストリートの中の美術館という感じか。