韓国史教科書の修正勧告

ここのところ議論となっていた韓国史教科書問題について、教育部が出した修正勧告の概要を紹介している記事をクリップ。

事実関係の間違いはともかく、それ以外の修正を見てみると、進歩と保守の間での左右対立的な論点については比較的中立を保ち、いっぽうでは北朝鮮を意識しながら大韓民国スケールのナショナリズムの確立が目指されているようです。「国内的にはわりと穏健穏当な立場からのもの」と評価してよいように思います。

むろん、韓国の政治情勢の中でそう評価されるかどうかはまた別の問題です。

国史教科書全8種に829カ所の修正勧告
2013年10月22日15時08分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

韓国の国史編纂委員会による検定を通過した高校韓国史の教科書8種すべてが教育部の修正・補完の勧告を受けた。教育部は21日、教科書出版社に合計829カ所を修正・補完するよう通知し、来月1日までにこれを反映するよう要求した。

教育部の沈恩錫(シム・ウンソク)教育政策室長は同日、記者ブリーフィングで「客観的な事実と表記・表現の不具合、叙述上の不均衡、国家アイデンティティを歪曲する内容を中心に分析した結果を反映した」と述べた。沈室長は「出版社が妥当な理由や根拠なく勧告を受け入れない場合には関連規定によって修正命令権を行使する」と付け加えた。

8月末に検定審査に合格した高校韓国史の教科書について、左偏向・右偏向の言い争いが続いたため、先月11日、徐南洙(ソ・ナムス)教育部長官が自ら沈静化に乗り出した。徐長官は「現在、検定を通過した教科書8種すべてから無視できないミスが発見されている」とし、「修正を勧告する」と述べた。これを受けて教育部は、 先月初めから専門職の公務員と一線の歴史教師など25人で構成されたタスクフォース(TF)に教科書8種を分析させた。教育部は「これとは別に教授・歴史教育専攻者12人による諮問委員会を作って諮問を受けた」と説明した。

修正勧告案には年代表記、用語など、事実の誤りのみならず、▶光復(解放)以降の政府樹立の過程で、分断の責任が韓国にあると誤解させるような部分▶主体思想などを説明するなかで北朝鮮体制の宣伝をそのまま引用しているため、学生が誤った判断をするおそれのある部分−−なども含まれた。

出版社別の修正・補完件数は▶教学社(251件)▶リベル(112件)▶天才教育(107件)▶斗山東亜(84件)▶飛上教育(80件)▶金星出版社(69件)▶志学社(64件)▶未来N(62件)の順だった。

http://japanese.joins.com/article/398/177398.html

<韓国史教科書問題>慰安婦の時期、分断の責任を明確に…全教科書に要求(1)
2013年10月22日09時02分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

検定を通過した高校韓国史教科書8種類に対する教育部の修正勧告は計829件。この中には▼日本軍慰安婦が1944年から動員されたという誤解を招く記述▼独立門の着工・完工年(1896年、1897年)と「迎恩門」解体時期(1895年)の錯誤−−など、事実の誤謬や年代、表記法に関する部分が多い。

また教育部の修正勧告案には▼政府の樹立過程▼北朝鮮関連の記述▼ベトナム派兵▼南北対立−−など、近現代史も含まれる。この時期に関する教科書の記述のうち教育部が指摘した事項は国家の正統性、分断責任など左右理念によって見解が異なる部分が少なくない。

教育部は8種類の教科書出版社すべてに対し、分断の責任を明確にすることを要求した。教科書は光復(解放)後、政府の樹立過程を「米ソ共同委員会開催(45年12月)→李承晩(イ・スンマン)の井邑(ジョンウプ)発言(46年6月)→金九(キム・グ)などの南北交渉推進(48年4月)→48年5・10総選挙」の順序で配置した点を指摘した。南北分断の責任が韓国にあると誤認される可能性があるということだ。これら教科書は、北朝鮮で当時「北朝鮮臨時人民委員会」(46年2月)が設立され、事実上、政府の役割をしていたという事実を十分に記述していない。

北朝鮮に関する記述も修正勧告が多かった。金星・斗山東亜・リベル・未来N・飛翔教育・天才教育の教科書は、教育部から「北の土地改革に関する正確な事実理解のため、分配方式について追加の説明が必要」という勧告を受けた。解放の直後、北朝鮮の土地改革は農民に実質的に土地所有権を分配したのではなく、耕作権だけを支給したという事実が明確に記述されていないということだ。北朝鮮体制を説明しながら3代世襲に関する言及がなかったり(斗山東亜・天才教育)、北朝鮮住民の人権問題に関する具体的な記述がない(斗山東亜・飛翔教育・天才教育)という指摘もあった。

http://japanese.joins.com/article/364/177364.html

<韓国史教科書問題>慰安婦の時期、分断の責任を明確に…全教科書に要求(2)
2013年10月22日09時02分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

「右偏向」という批判を受けている教学社の教科書は、5・18民主化運動に関する記述で修正要求を受けた。教育部は「デモ隊が武装して道庁を占拠したため、戒厳軍がこれを鎮圧するために光州を掌握した」という記述に対し、「5・18の流血事態の原因があたかも市民にあると誤解を招くおそれがある」と修正を要求した。「日帝強占期にわが民族の時間概念が定着した」という部分に対しても、「『植民地近代化論』を擁護する記述と誤解されるおそれがある」と指摘した。

経済の発展について「ほとんどの題目が否定的に表現され、経済発展の成果に関する説明があまりにも簡略」(未来N)、ベトナム派兵中のベトナム人の被害について「両国関係を考慮して『民間人虐殺』という用語の代わりに『民間人被害』を使用することを推奨する」という指摘もあった。教育部は勧告に従わない場合、「教科用図書に関する規定」に基づき修正命令を下すと明らかにした。これら韓国史教科書が支障なく供給されるには、少なくとも11月末までに教科書最終原本(展示本)が学校現場に配布されなければならない。

執筆陣の反応は分かれる。教学社の教科書を執筆した韓国学中央研究院のクォン・ヒヨン教授はこの日、「誤謬、表記法上の問題は修正要求があれば当然応じるべき」とし「国家の正統性を損なわせる記述はするべきでないという執筆基準を遵守しなければいけない」と述べた。

半面、教学社以外の7種類の教科書執筆陣からなる「高等学校韓国史教科書執筆者協議会」は先月、「検定取り消し要求を受けるほど不良教科書のような扱いを受けることに耐えがたい虚脱感と侮辱感を感じる」とし、拒否の意向を明らかにしていた。教学社の教科書を修正・補完した後、通過させるため、他の7種類の教科書も問題点が多いかのように映ったという不満だ。7種類の教科書の執筆者は近く対策会議を開き、立場を明らかにするという。

一方、8種類の教科書全体で、史観だけでなく連帯表記など単純な誤謬も多数見つかり、従来の検証過程に対する懐疑的な見解も表れた。教育部のシム・ウンソク教育政策室長は「誤謬が多かった教科書は今年初めて歴史教科書を出した出版社(教学社・リベル)で、限界があったはず」と述べた。

http://japanese.joins.com/article/365/177365.html