いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



いつも心に剣を 1 (MF文庫J し 5-1)

「いつも心に剣を1」十文字青MF文庫J
いつも心に剣を 1 (1) (MF文庫 J し 5-1)

魔女という存在が恐れられていた時代。兄妹として育てられた少年レーレと少女ユユは、故郷を飛び出し旅をしていた。「わたしの言うことはぜんぶ聞きなさい!」勝ち気なユユに振り回されつつも、心のどこかで小さな幸せを感じていたレーレ。そんな旅の途中、拾った金の指輪が原因でユユはとある疑いをかけられてしまう。しかし、これは二人が巻き込まれる大きな嵐の小さなはじまりにすぎなかった……。『薔薇のマリア』(角川スニーカー文庫)の著者が描く、儚くも強い愛と絆の物語。―――「ユユがいないと意味がない。絶対、助けるから」―――


剣と魔法の本格ファンタジー
要約すれば中世ヨーロッパ風の分かりやすい世界観と男の子が女の子を助けるという単純明快なストーリーなのだが、魅せ方が独特で上手い。
まず一つはシリーズものの1巻としては説明がかなり少ないこと。
初めはいきなり放り出されたような感じで何が何だか分からないが、少しずつ見えてくるこの世界の姿とレーレとユユの関係性に自然に物語に引き込まれていく。特にレーレとユユの関係は分かりだす頃には離れ離れになっていて切なさが募る。
もう一つは人間の暗部。
いくつかのシーンで見せる人間の汚さや醜さを前面に押し出したその描写は生々しく、鬱展開を通り越して怒りすら覚える。でも、それを乗り越えたからこその感動がその先に待っている。
一先ず事は解決しているのでこの先どう展開していくのか予想がつかないが、壮大な世界観を見せ付けてくれたので次が楽しみ。