いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)

サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY」河野裕角川スニーカー文庫
サクラダリセット  CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)

「リセット」たった一言。それだけで、世界は、三日分死ぬ――。
能力者が集う街、咲良田。浅井ケイは、記憶を保持する能力をもった高校一年生。春崎美空は、「リセット」――世界を三日分巻き戻す能力を持っており、ケイの指示で発動する。高校の「奉仕クラブ」に所属する彼らは、ある日「死んだ猫を生き返らせてほしい」という依頼を受けるのだが……。リセット後の世界で「現実」に立ち向かう、少年と少女の物語。


うまく説明できないけど、なんかいい。
澄んだ空気に暖かな陽射し、雨上がり(ジメジメする前)のような雰囲気(と書いてみたもののなんか違うな
物語としては堅実。伏線張りも回収きっちりしていて、初めは少しの違和感から始まった謎が次なる謎を呼ぶ展開とそれが少しずつ線でつながっていく様に引き込まれる。最後に行き着く先では大きな事を成し遂げたりどんでん返しが起きるわけではないけど、痛みに裏付けされた確かな優しさを感じられる。
一方で出てくる少年少女たちには、それぞれ理由は違えど皆どこか足元が覚束ない時のような不安を感じる。中でも美空(表紙の娘)の存在感は独特。異常な欲の無さと依存7割、恋3割くらいのケイ(主人公)との関係。数少ない美空視点は読んでいて危うさと甘さが同居した奇妙な魅力がある。
この優しさとアンバランスさが独特の空気を作り出しているんだろうか。とにかく良かった。
続きの予定があるようなので次が楽しみ。結局最後まで明かされなかったあのキーアイテムの意味も気になるところ。


〜おまけに一言〜
野ノ尾さんとお友達になりたい! ねこー