いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』 記憶の形成は作為」入間人間電撃文庫
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)

むかしのことを考えると頭の中が深夜のテレビみたいにノイズだらけになるさっこん、いかがお過ごしでしょうか。
これは、ぼくがまだ僕になる前の話だ。家庭内にぎやか事件のあと、ぼくはいろんな人と出会った。恋日先生、じさつ志願者、いじめっ子少女、にもうと、そして、マユちゃん。みんな(とくにマユちゃん)の純粋むくな姿がめじろおしでおとどけなのである。……むかしのぼくは正直ものだったんだよね。
うそだけど……今度、じしょでうそって字を調べとこう。

某事件直後10歳前後の時のみーくんこと××君の話×4+パラレルワールドの短編を収めた短編集。
サブタイトルに作者からみーくんへの歪んだ××が感じられますな。


各話毎一言二言


春『うそが階段を上るとき』
事件後、××まだ入院中
××の嘘は平仮名の“うそ”は似合わない。“嘘”の方がしっくりくる。
本編の誰よりも悪意に満ちたヤマナさんがとても気持ち悪い。
ヤマナさんには耳を×××××するという選択肢はなかったのか?・・・まあこの時点では本人の視点が一点に向いちゃってるから無理だろうけど。


夏『ともだち計画』
××退院後、小学校へ。
これも一つの“好き”の形か・・・御免被りたいな。
これは不器用じゃなくて屈折だろね。


秋『蟻と妹と自転車籠』
事件前の××とにもうとの山での思い出。
春夏と読んできた後だと、このにもうとの感情表現は素直で可愛く見えるから不思議。過激だけど。


冬『Happy Child』
嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』序章
真打登場。さすがとしか言いようがない壊れっぷり。
これが1巻へと繋がっていくわけか。


とってももしもにもしかして『壊れていない正しさのある世界なら』
もし事件が起こらず××が高校生になっていたらという話。少しだらけたごく普通の高校生の日常。
凄い普通の話のはずなのにこの猛烈な違和感と物悲しさはなんだろうね。
本編だと飛び抜けた常識人かつ普通の人のはずの柚々がここだと一番変な人に感じるのが違和感の最大の原因か。でもゆずゆずが幸せそうだったからちょっと嬉しかったり。