いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ANGEL+DIVE CODEX 3. CLOSERS」十文字青(一迅社文庫)

ANGEL+DIVE CODEX (3) .CLOSERS (一迅社文庫 し 1-8)
ANGEL+DIVE CODEX 3 (一迅社文庫 し 1-8)

群馬県甘里村に潜伏する“北極星”のメンバーたち。重傷を負ったミチ子は“野戦病院”で手当を受ける。イコンに連れ去られた莉子、変質してしまった自分の体、組織への疑念、エンジェルダイヴの謎、速水への気持ち…… さまざまな感情に押しつぶされそうになる、すず。
一方、イコンの命を受け、破壊神(デストロイヤー)、恐怖の女王(ホラークイーン)の通り名を持つ双子の真鳥姉妹が、すずたちを追って動き出した――。
奇才・十文字青が放つ渾身の物語『ANGEL+DIVE CODEX』シリーズ第3弾!


うわぁ、えげつないほど現実的だなぁ。
ANGEL DIVEという理不尽を突きつけられ、それでも前を向こう自分を変えようともがく若者たちと、ままならない現実を叩きつける大人たちの構図。
若者達の姿がとにかく痛々しい。すず、輝虎、速水がそれぞれの悩みや心の傷を見せられるだけでも生々しくて切ないのに、その上折角した覚悟やささやかな幸せすら潰されて遣る瀬無さと怒りを感じる。さらにそれを見せ付ける大人の代表の柳と鬼童のヒトデナシさが痛みと怒りを増幅する。
それにしてもこの2人の品の無さは読んでいて気持ち悪かった。突き詰めれば人間の本質はそこにあるのかもしれないが、あそこまで露骨に表現する必要はあったんだろうか?
そんな鬱屈した展開だったけど最後に少しだけ晴れた。
さすが我らが依慧様。決めるべきところはきっちり、しかもド派手に決めてくれる。相手が相手だけにスカッとした。でも、彼女達も現実を叩きつける側なんだよなあ。
ようやく見えてきたイコンという組織と、相良家の人々やローラン家の人々などのシリーズ序盤のキャラも再登場で否応なしに盛り上がっての終了で、CODEXのクライマックスに期待が掛かる。
って、しばらく休止かい!