いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔王城三限目」田口仙年堂(ファミ通文庫)

魔王城三限目 (ファミ通文庫)
魔王城三限目 (ファミ通文庫)

魔王にもなり得る魔力を秘めた「魔人」たち。けれどその力を良い方向に向ければ、英雄にもなれる。その思いを伝えたいと、今日も今日とて苦心しながら授業を進めるエイゴだったが、一番年下のユーニィはまだ5歳。なかなかうまくは伝わらない。悩むエイゴの前に、あるチャンスが訪れるが……。悲劇の種は、その時既に撒かれてしまっていた。王都の陰で渦巻く様々な思惑と陰謀。そしてついにある組織の手が、ひとりの少女へと忍び寄る――。急展開第3弾!!


うう、なんてところで終わるんだ。
全体的に重い苦しい内容で、その上この引きはきつい。
狂気のお姉さんハイナートだけでなくソレイユ工房なる新たな陣営も出てきて、彼らの敵意が魔人の子供たちに牙を向き始める3巻。
なんとも胸を締め付けられる話だった。
純粋であるがゆえに見え見えの罠にはまり深く傷つくアプリールの姿が居た堪れない。彼女がしっかり者だったことやエイゴが不器用だったことなどの悪循環も重なっていて、いくつも救える手段、機会が見えいるだけになおのこと切ない。メイを救えた1巻と対極のような状況か。
しかし、(魔人視点で)敵も完全に悪ではないのがまた辛い。
霊剣楽団もソレイユ工房もやり方はいき過ぎているけど、そんなに間違ったことを言っているわけではなし、緊急結界士たちや街のおばさんたちも当然のことを言っているだけ。それだけに遣る瀬無さが募る。
あんなにいい子達に泣いて欲しくないが、そういう状況でもなくなってきたなあ・・・。
対魔人の感情が悪化の一途を辿りそうな中、大人のやり方で攻めてくる彼らに、一人の大人であるエイゴはどうやって立ち向かうんだろうか?