いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「とある飛空士への恋歌3」犬村小六(ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)
とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

8月の強烈な日射しのもと、過酷な陸戦訓練を続けるカルエルたち。戦闘への不安と焦燥が募る中、それは若き飛空士たちの間に恋愛をも育んでゆく。そして、イスラはついに噴き上がる海「聖泉」へ到達する。これより先は「空の一族」が支配するといわれる未知の空域。カルエルたちは、イスラ後方への索敵飛行を余儀なくされるが――。「いつまでもみんなと一緒に空を飛びたい」ただそれだけを願った少年少女たちが飛ぶ空は、美しいだけでなく残酷で……。王道スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚愕と慟哭の最新刊!!


3巻にしてついに動き出した「恋歌」
レヴィアタンではお馴染みのシズカの出歯亀や、麻薬かいっ!とツッコミたくなるアリーメンなどお遊びが過ぎるくらいにコミカルな前半から一辺、ついに始まった戦争で物語は一気にシリアスへ。
流石は「レヴィアタンの恋人」の作者、戦争を書かせたらハンパない。
圧倒的なスピード感に加え、パイロットの緊迫感や焦燥感、悲壮感がダイレクトに伝わってくる空中戦、誰であろうと落とされる容赦のない展開、これが戦争だと言わんばかりの凄惨さに言葉を失う。
中でも彼のエピソードでは久々に涙腺が崩壊した。
いくら露骨な死亡フラグで予告されていても、泣けるものは泣ける。過酷な現実の中での彼の覚悟と男気に涙が止まらなかった。
そして敵が退き一息ついたラスト、最後の最後の一行でおもむろに投げられた爆弾にまた驚愕。
時代同じなのか。てっきり過去か未来の話かと思ってた。ということはあの海猫は・・・。
あの人たちとの邂逅はあるのか? 授業どころではなくなった状態でクレアとの関係は? 気になることがいっぱいで続きが早く読みたい。