いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ソードアート・オンライン4 フェアリィ・ダンス」川原礫(電撃文庫)

ソードアート・オンライン (4) フェアリィ・ダンス (電撃文庫)
ソードアート・オンライン 4 (電撃文庫 か 16-8)

SAOから未だ帰還しないアスナを救うため、疑惑のVRMMO≪アルヴヘイム・オンライン≫にログインしたキリト。
その次世代飛行系ゲーム≪ALO≫は、≪魔法≫という概念、プレイヤーの反応力と判断力が勝敗を決めるアクション要素、そして≪妖精≫となって空を駆け巡る≪飛翔システム≫と、≪SAO≫に勝るとも劣らない高スペックで数多のプレイヤーを魅了していた。≪妖精≫スプリガンとなったキリトは、アスナの幽閉先──全プレイヤーの最終目的地≪世界樹≫目指し突き進む……!
道中、妖精種族≪サラマンダー≫のプレイヤーたちの策略により、絶体絶命の危機に陥るキリトだったが、≪シルフ≫の少女・リーファの助力、ナビゲートピクシー・ユイのバックアップを受け、どうにか九死に一生を得る。
そしてついにキリトは≪世界樹≫の根元までたどり着く。しかしそのとき、リーファとキリトは互いの≪秘密≫を知ってしまい……。


この物語、個人的には直葉が主人公だった。
アスナとの再開シーンが涙腺にくるだろうと思って読み始めたのに、蓋を開けてみたら兄妹がお互いのリアルを知ってしまった後の直葉の反応が一番きた。叶わぬ恋だと分かっていてもこのタイミング、この切なさは泣ける。
その後も、キリトの背中を押す健気さと、あまりの心の距離感に挫けそうになる姿にまた泣けてくる。
それでも、下巻はキリトとアスナの話で直葉の扱いは軽いだろうと思っていたので、ここまで直葉の気持ちが大切にされて丁寧に描かれていたことが嬉しい。それに彼女にとってハッピーエンドとはとても言えないけど、救いのあるラストシーンも良かった。


本筋は相変わらずのバリバリの王道展開。やっぱキリトさんマジパネェっす。
主人公が強すぎたって、何もかもタイミングが良過ぎだっていいじゃない。怒涛の勢いと熱い展開に燃えるし、何より面白いんだから。完全にアスナしか見えていない猪突猛進なキリトの姿が純粋にカッコイイ。


フェアリィ・ダンス編終了。キリトがアスナを救う物語であると同時に直葉の物語でもあったと思う。あとがきによると次は全然違う展開になるようだけど、キリト氏がさらに何本のフラグを乱立するのか王道一直線で来ているので、少しばかり変化球に期待。