いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「SH@PPLE ―しゃっぷる― (9)」竹岡葉月(富士見ファンタジア文庫)

SH@PPLE ―しゃっぷる―(9) (富士見ファンタジア文庫)
SH@PPLE  ―しゃっぷる―(9) (富士見ファンタジア文庫)

はじまりは、僕・淡谷雪国のひとめ惚れ。ヅラをかぶってシュミーズはいて、姉の舞ちゃんになりすました、ドキドキの入れ替わり女子校ライフ! それは全部ぜーんぶ、一駿河さんのため。だけど“あの”ダンスパーティーのあと、僕はもとの学校へ戻り、古葉さんと付き合うことに……。どうして、どうしてこうなった?
答えは出ないまま、高校受験がはじまる。卒業まではあと少し。一駿河さんの、古葉さんの、舞ちゃんの、そして僕の……それぞれの想いは、掛け違えたボタンのようにちぐはぐで。だけど。だけど! いくら回り道をしても、僕と舞ちゃんとみんなで、最後はきっと笑えるはずなんだ。♂♀入れ替わりラブコメ、ファイナルっっっ!


良かったー。
真っ当なラブコメなのでハッピーエンドで終わることは分かりきっていたことだけど、それでも初めに出てきたのは大きく息をついて「良かった」の一言。シリーズが後半戦に入ってからずっと、相手のことを思っての行動がすれ違いを生むという遣る瀬無さが募る展開だったから、ハッピーエンドの幸福感よりも、ほっと胸をなでおろす安堵感の方が強かった。
この最終巻は雪国や蜜よりも振られてしまった女の子達が頑張る姿が印象的だった。
みんなの関係を元に戻そうと一番頑張ってたのは胡蝶の宮だし、雪国と蜜のために心を鬼にしたのは鳥子。
叶ったら自分が悲しくなるのに、それでも好きな相手のために頑張る二人の姿に胸が締め付けられた。特に鳥子は・・・。観覧車よりもあなたがえらいです。
恋話の甘酸っぱさよりも、ハラハラ感やヤキモキ感などの見守る立場の醍醐味を大いに味あわせてくれた作品。
素晴らしい青春ストーリーでした。