いつも月夜に本と酒

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「死神少女と1/2アンデッド」佐々原史緒(ファミ通文庫)

死神少女と1/2アンデッド (ファミ通文庫)
死神少女と1/2アンデッド (ファミ通文庫)

海辺で遺体となり発見された冬哉は、恐怖に満ちた夢を見て蘇生した。だが心音もなく姿も鏡に映らず、屋内外に佇む霊が見える……。そんな異常を隠し日常に戻った彼のクラスに突然、あの夢で見た大鎌の少女が現れた! 戦慄し逃げる冬哉に、少女は迫る。「鏡を返せ」と――。それが己の死の真相を忘却した"半死人"冬哉と、迷える魂を彼岸に送る"渡し"那由子の奇妙な関係の始まりだった。死と生の境を越えて出逢ったふたりのダーク・ミステリ・ロマンス!


一年ぶりの佐々原さんの新シリーズは、遺体で発見された主人公・冬哉は数時間後に何故か生き返り、無事日常復帰を果たす。今までと変わらぬ生活を送れるかと思いきや、徐々に体の異変と怪異の影が忍び寄り――といった内容のホラー・アクション。
ホラーか・・・文章のホラーにはあまり恐怖を感じないから微妙なんだよな、と思いながら読んでいたら、ちゃんとボーイミーツガールも入っているではないですか。主人公がやる気を、ヒロインが素を出し始めてからが面白い。
それに、基本がシリアスなのでいつもの笑える地の文はかなり抑え気味だが、主人公や老師の台詞の軽さにヒロインの食欲っ子ぶりなど、所々に“らしさ”が散りばめられていて、ガチガチのシリアスにならず軽く楽しめるのも嬉しいところ。
シリーズ一冊目ということもあり、人物、舞台、能力紹介の面が強かったが、このラストは卑怯だ。これは続きが気になって仕方がない。幸いにも来月刊行予定なので、一ヶ月大人しく待ちますか。