いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「時間の落とし物」入間人間(メディアワークス文庫)

時間のおとしもの (メディアワークス文庫)
時間のおとしもの (メディアワークス文庫)

『時間』は気まぐれな性格で、ふとしたときに『奇跡』を運んでくれる。
『携帯電波』――少女が台所で偶然見つけた携帯電話。耳を傾けた向こう側には、もう一人の自分がいて……。
『未来を待った男』――この時代にタイムトラベラーを呼び寄せる。それが男の目標だった。『やり直したいことがある』のだという。そして、ついにその時が訪れる。
『ベストオーダー』――四人の俺が、同じ場所に現れた。自分自身が複数いるこの状況を前に、俺達四人はしばし考えた後、全員で共謀し、『完全犯罪』を企てる。
ほか、書き下ろし短編『時間のおとしもの』を含む、時間に囚われた人間たちの、淡く切ない短編集。


『携帯電波』
内容:台所で昔の携帯電話を見つけた彼女(小学生)は……。
陰鬱。オチも中途半端。
そして何故だかとてつもなく読みにくい。30ページくらいから全然頭に入ってこない。(だから一度止めて他の本に行って後回しになってしまったわけだが)



『未来を待った男』
内容:時間の研究に人生を費やした研究者の話。
そういうオチかー! 
おバカな大学生二人のおバカな行動が、主人公の成長と共に思い出話として淡々と綴られていく。軽く笑えるけど淡泊だなと思いつつ読んでいたら、最後に衝撃が。
ただ、青春ものとしては最高のラストだったけど、時間ものとしては作中で因果関係やタイムパラドックスにずっとこだわっておきながら、最後だけスルーなのにはちょっと違和感。



『ベストオーダー』
内容:バッティングセンターに行ったら、あと3人自分がいた。
時間ものとして一番面白かったのがこれ。前二つが微妙、最後はSF成分なしという後ろ向きの理由だけど。
相変わらず多作品の登場人物出すの好きねw



『時間のおとしもの』
内容:日々に疲れた社会人の彼が駅で初恋の人を見かける。
イッツ“初恋の淡い思い出”な話。いいっすなー。作者が描く男女の距離感とあっさりした女性像が好き。
最後のソレは時間を止める魔法じゃなくて動かす魔法じゃないのかいニヤニヤ。