いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「蒼穹のカルマ8」橘公司(富士見ファンタジア文庫)

蒼穹のカルマ8 (富士見ファンタジア文庫)
蒼穹のカルマ8 (富士見ファンタジア文庫)

私のねえさまは、あっ、正確には叔母さんなんですけど……なんかねえさまの方が呼びやすくて、それにお姉ちゃん、欲しかったから。私のねえさまは、蒼穹園騎士団で働いています。空獣から世界を守る大変なお仕事なので、仕事中は笑わないって聞きました。家ではいつも笑顔なのに。あんまり無理しないで欲しいなって思ったりもします。だって私のねえさまは勇者で、魔人のマスターで、神様で、ときどき女子高生で、魔王で、魔法少女で、赤ちゃんで。とにかくねえさまは何だってできます。だから……事業参観にもきっと間に合うよね。信じて待ってるよ。ねえさま。
ハイテンション暴走ファンタジー、完結!!


異世界も魔人も神もみんな出てくるとんでも展開。それらの問題を解決するのは当然我らが駆真さん。全ては在紗の授業参観のために。そんな1巻を思い起こさせる授業参観+ごちゃまぜ+駆真無双なシリーズ最終巻。
この無秩序に見えてしっかりストーリーは進んでいく不思議な感覚。これこそ『蒼穹のカルマ』。久しぶりで心地いい。加えてほぼ全ての伏線を綺麗に回収していくのがビックリかつスッキリ。ここ数巻での衝撃のラストという名の伏線乱発は、最終巻で原点回帰させる伏線だった? だとしたら凄いという感嘆の言葉しか出てこない。
さて、最後の駆真さんは……やっぱりがっかりで最高でしたー!
口絵からア○顔という出落ちに始まり、とにかく動きまくる駆真に何度も笑わせられ、極めつけは巨大ロボット。今更ロボットが出てきたくらいでは驚かないのだけど、動力が酷い。あまりにも酷い(もちろん誉め言葉 こんなの笑わずにいられるか!w
他のメンバーも、相変わらずな槙奈の扱いや、駆真以上の残念さを発揮する魔王、ある人の登場で一人ラブコメしている冬香ママなど笑いの種は尽きない。
こんななのに最後はビシッと家族愛で締めてくるから敵わない。
あっちもこっちも問答無用のハッピーエンド(あ、レーベンシュアイツはまだ戦々恐々かw)。リサと在紗の「嬉しい」がいっぱいな様子に読んでいるこちらも感極まる最高のエピローグ。
ネタ満載で笑えるやり取りにカオスなのに何故か進んでいくストーリー、不思議で楽しいシリーズだった。まさかの復活を密かに願っております。