いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔王討伐!俺、英雄…だったはずなのに!?」遊馬足掻(このライトノベルがすごい!文庫)

魔王討伐! 俺、英雄…だったはずなのに!? (このライトノベルがすごい! 文庫)
魔王討伐! 俺、英雄…だったはずなのに!? (このライトノベルがすごい! 文庫)

魔術と体術を極め、魔王を倒した英雄ラグナが望んだものは、小さな幸せ――仲間との楽しい語らい、愛する人と過ごす平穏な生活――だったのに!!! 圧倒的すぎる力の前に、人は去り仕事もうまくいかず……失意のラグナは評判の美少女占い師ルーチェを訪ねる。占いの結果、強さの理由は「10008の呪い」と判明! 呪いを解いて弱くなるべく、ルーチェと旅立つラグナ。でも、考えついた方法が「魔王育成」って大丈夫!?
第3回『このライトノベルがすごい!』大賞栗山千明賞の七転八倒“逆”RPGファンタジー、堂々開幕!!


強すぎた勇者の魔王討伐後をコミカルに描くドタバタコメディ。
その英雄・ラグナの強さはレベル99とかゲーム内で有り得るレベルではなく、HP三桁の世界(ドラクエ)に四桁の世界(FF)の勇者が来てしまったような文字通り桁違いの強さ。なのに中身は小市民。そんな彼の苦悩が涙ではなく笑いを誘う。
一応章区切りだが、月日の経つのがかなり早いぶつ切り展開で短編集のような構成。ストーリーは有って無いようなもの。まあコメディだから別にいいか。
一番の売りはなんといっても元英雄ラグナと占い師ルーチェの掛け合い。
言動が滅茶苦茶なルーチェに常識人のラグナがツッコミを入れたり、小市民でなかなか動かないラグナをルーチェ上手いこと動かしたりと、なかなかいい漫才コンビ。
また、多くの敵を作りながら数少ない掛け替えのない友人を作っていく章の締め方がハートフルで読後感が良い。
栗山千明賞ということで尖ったものを想像していたが、真っ当なコメディで普通に面白かった。