いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「一つの大陸の物語 〈下〉 〜アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他〜」時雨沢恵一(電撃文庫)

一つの大陸の物語 (下) ~アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他~ (電撃文庫)
一つの大陸の物語 (下) ~アリソンとヴィルとリリアとトレイズとメグとセロンとその他~ (電撃文庫)

トラヴァス少佐を乗せた軍用機が突如爆発。制御を失ったその機体は、人里離れたルトニ河の川縁に墜落してしまう――。
その頃ロクシェ首都では、消息を絶ったトラヴァス少佐が麻薬犯罪に関与したという疑惑が持ち上がり、過剰とも思える証拠が次々と明らかになっていくのだった。
一方、やんごとなき事情により長年勤めた空軍を追われることになってしまったアリソン。将来に絶望したリリアを新聞部メンバーが助けようとする中……アリソンは「わたし、再婚するんだ!」と陽気に語るのだった。しかも、相手は既に死んでしまったはずのあの人で――。
胸躍る"彼らの物語"、ここに完結!


最後は『リリアとトレイズ』でも『メグとセロン』でもなく『アリソン』だった。大人版の『アリソン』。
各陣営の思惑と陰謀が渦巻き、一歩間違えたら危うい死と隣り合わせの状況。ワクワクも当然あるけど、時としてハラハラの方が強くなるこの感じは間違いなく『アリソン』だ。
リリアとトレイズ』以降、特に『メグとセロン』になってからはそこまでの危機的状況はなかったので、久しぶりに味わう二つの国がいがみ合っていた時代の緊張感が昔を思い起こさせてくれた。
そして迎える第二十一章「結婚式」。上巻の目次からすでに存在感大有りな章だったがその中身は、
いやもう、懐かしさとサプライズの連続で顔がほころびっぱなし。
出てくる出てくる過去の登場人物。カルロはこの濃いメンバーでも最強なのか。てか作者はカルロ好き過ぎるだろ! ……何人か忘れていて思い出せないのは内緒w
サプライズも嬉しいタイプと笑えるタイプの二種類で攻めてくる。
一番の驚きはどれかな。孫デレか新しい少佐かアサシンか、甲乙つけがたい。
しかし、上巻は『メグとセロン』の続きのような形で、最後が『アリソン』か。『リリトレ』は……
これはきっと、苦労人ヒーロー・ヴィルと男なのにヒロイン・セロンに比べると影が薄いトレイズのせいだな。これでフィナーレだというのに最後の最後までヘタレてたし。両親はベネディクトもフィーもヘタレなんて無縁なのにどうしてこうなった? まあ、そんなヘタレ少年は置いといて後の二組は「お幸せに!」
懐かしさと幸せがどっと押し寄せてくる最高の完結編だった。時雨沢先生お疲れ様でした&最高にワクワクできる物語をありがとうございました。