いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「さくらコンタクト route B 真智ありす」日日日(このライトノベルがすごい!文庫)

さくらコンタクト route B 真智ありす (このライトノベルがすごい!文庫)
さくらコンタクト route B 真智ありす (このライトノベルがすごい!文庫)

桜の神木《佐保姫様》を咲かせた者には素敵な恋人ができるという。その奇跡を成就させた桜木春彦は今……授業中に乱入した上級生の少女に捕獲され、問答無用で連行されていた。
「大丈夫です春彦……何も怖いことなんかありませんハァハァ」「俺誘拐されてる!?」
彼女の名は真智ありす。近くの天裏神社の巫女にして、かつて一緒に遊んだ「お姉ちゃん」であった。
人気作家・日日日が贈る、“姉萌え”伝奇ストーリー! 「春ちゃんも思春期なんですね……」

先月発売の『さくらコンタクト route A 小河桃子』と、同じ舞台・ほぼ同じ登場人物で送るシェアワールドブコメ



これはまたrouto Aの桃子に負けず劣らずの濃いヒロインですこと。個性的という点では桃子より上かも。
普段は説明好きのお姉さんキャラ……を演じる寂しがり屋なのに、デレた時のゆるみ具合と所々の壊れっぷりの落差がもの凄い。やっぱギャップって最高だわ。特に酒乱の時の甘え方はかなりの破壊力。これを襲わない主人公・春彦の精神力には感服ですw
一方、物語としての甘さに関してはrouto Aの方が上。
ちょっと設定を壮大にし過ぎたような。異世界が出てくるところまでは少し不思議レベルだったのだけど、そこから話が膨らんで世界を取るか彼女を取るかみたいな話までいってしまう。ありすの悲劇性を強調したかったのだろうか。生い立ちだけでも十分悲劇のヒロインだったんだけどなあ。おかげで話がそっちに引っ張られて「恋愛」を楽しみ切れなかった。
あと、routo Aの桃子の印象が強かったものだから、桃子が出てくるたびに切ない気持ちになってしまったのも甘さ控えめの原因。でも、これはコンセプト=ギャルゲーの醍醐味かな。
それでも全くタイプの違う可愛いヒロインを読めて萌えという点では満足……っておいラスト!w 幸せなのに苦笑が浮かぶラストに、モヤモヤしたものが一気に晴らされてしまった。上手いなあ。


シェアワールドブコメ。面白い企画でどちらのヒロインも甲乙つけがたく可愛くて楽しませてもらった。
ただ、どうしても比較の目で見てしまうのと、初めに読んだ作品の世界観とキャラクターの性格の印象が残る為、後の作品がそのイメージから外れると違和感になってしまうので、後から出す作品が不利かなとは思う。