いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「とある飛空士への誓約6」犬村小六(ガガガ文庫)

とある飛空士への誓約 (6) (ガガガ文庫)
とある飛空士への誓約 6 (ガガガ文庫)

敵対する三つの勢力に分かれた「エリアドールの七人」は、あの誓約を胸にそれぞれの場所で頭角を現しつつあった。秋津連邦首都・箕觶の防空任務についた清顕は軍の思惑により若き英雄として祭り上げられ、いまやヴォルテック航空隊のエースとなったイリアを撃墜するよう強いられる。両国の威信をかけた最新鋭戦闘機を託されたふたりは、単機で戦局を決定づけるほどの戦闘力を翼にのせて、燃えさかる箕觶上空で再会する。葛藤と煩悶の末、互いを想い、仲間を想うふたりは高空の一騎打ちへ! 第2部「第二次多島海戦争」完結。


ついに完全に離れ離れになってしまった七人。前半はセシルを除く六人の現在が、それぞれの視点でリレー形式で語られていく。
予想外に雅な家の出だったかぐらさんに驚き、良かったような悪かったようなライナの次の任務先に複雑な気分になったり、相変わらずなミオに心を痛めたり……は、いいとして、
バルタさんの出番これだけ? この緊迫した情勢の中であの人だけが一息つける一服の癒しなのに。まあ、一度だけの登場でも俺TUEEEしてて笑ったけどw
そして、英雄に祭り上げられた清顕とイリアの運命の対決へ。
前哨戦では清顕のヘタレが発動して、まだこんなことやってるのかとイラッとしたが、再び相まみえた対決は、誓約第二部のクライマックスに相応しい盛り上がり。空戦そのものに派手さはなかったが、二人の空の語らいは詩的で美しかった。
でも、そんなクライマックスよりも印象深かったシーンがある。
それはニナの、クレアの演説シーン。
あの大人しい彼女をここまで駆り立てる、カルの存在の大きさに嬉しくなると同時に、この先の苦難を思うと胸が苦しい。ミオの言うとおり、幸せな未来が想像できないのが辛いよ。
清顕とイリアに転機が訪れたところで次巻へ。第三部が待ち遠しい。
どう転ぶか全くわからないが、とにかくセシルとニナを応援したい。