いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「アルジャン・カレール 〜革命の英雄、或いは女王の菓子職人〜 〈上〉」野村美月(ファミ通文庫)

アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人-〈上〉 (ファミ通文庫)
アルジャン・カレール -革命の英雄、或いは女王の菓子職人-〈上〉 (ファミ通文庫)

革命とその後の混乱を経て、平和を取り戻したフロリア。その王都パリゼの隅で、劇作家のオーギュストは小さな菓子屋【パティスリー】を見つける。そこは魅惑の菓子で溢れていたが、無愛想な銀髪の店主は何やら怪しげで、すわ革命派の残党か、或いは盗賊かと疑うオーギュストだったが……!? "将軍の銀の猟犬"と呼ばれ名を馳せた動乱の英雄が、女王の菓子職人として大活躍! 後に"菓聖"と呼ばれることになる青年の伝説を描く、ヒストリカル・ファンタジーが上下巻で登場!!

上下巻同時発売で上巻は第四話まで(全八話)



戦乱のヨーロッパ風の舞台で、元軍人のお菓子職人アルジャン・カレールの活躍を描いた物語。
まず目を引くの次々と出てくるお菓子たち。
可憐な見た目の描写もさることながら、特筆すべきは味の表現。食べた人の丁寧な感想で味や食感を表現する手法が見事で、普段甘いものを食べない自分でも美味しそうに感じられた。
そんなお菓子たちに彩られた物語は「秘めた恋心」をメインテーマにした物語で、王道ながらも悪くないと思ったのだけど……
語り手がダメだ。思いっきり苦手なタイプ。
劇作家オーギュストは他人のプライベートに嬉々として土足で踏み込んでくるデリカシーの無いお坊ちゃんタイプ。恋敵とかなら何の問題もないが、主観が入る語り手でこのタイプはちょっとね。アルジャンが寡黙なので、ある程度お喋りじゃないと物語が進まないのは分かるけど、これでは現代の芸能レポーターとやってることが同じで少なからず不快。
第四話はそのオーギュストが絡んでこなくて、普通に楽しく読めたのでこの先もそうだといいんだけど……まあ、そんなことはないよね(^^;