いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「六花の勇者5」山形石雄(ダッシュエックス文庫)

六花の勇者 5 (ダッシュエックス文庫)
六花の勇者 5 (ダッシュエックス文庫)

愛から憎しみへ。白から黒へ。
「黒の徒花」の情報を手にしたアドレットだが、その内容に思い悩み、その取り扱いに逡巡する。
六花の勇者たちはテグネウの追っ手を退けつつ〈運命〉の神殿にたどり着くが、そこで予想だにしない人物に出会う。伝説に聞く、一輪の聖者がいたのだ。
そして一輪の聖者の周囲にある神言を読み解くと、「黒の徒花」に関わるテグネウのさらなる一手が判明する。自分たちが危機的な状況にあると知ったアドレットはそこで「黒の徒花」の内容を語り、対策を議論しようとするのだが、その矢先に、フレミーが衝撃的なひと言を放つ。究極の選択を迫られたアドレットの答えとは…!?
伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、第5幕!


!!?
衝撃のラストに開いた口が塞がらない。
相変わらずの緊張感を味わった後、ちょっとほっこりの区切りを迎えたと思った矢先にこの仕打ち。
全くテグネウの掌の上から脱してないじゃないか! それになんてえげつないことを考えるんだ。“愛を語る”凶魔の親分に背筋が凍った。
あまりに印象が強すぎてラストから語ってしまったが、今回は、
「黒の徒花」の正体がフレミーだと判明したことで、またしても内紛状態に陥る六花の勇者たち。
思い起こすとほぼ毎回自分たちで戦っている彼らだが、その都度違う状況を作りだし新しい緊張感を生み出してくるので、慣れることなくまた固唾を飲んで見守ることに。
今回はメインの視点であるアドレットが、七人目の疑いを懸けられ、助ける相手からも拒絶されて完全に孤立。そこで状況が悪化の一途を辿っていく時のアドレットの焦燥感、世界最強を自称する男が強がりすら言えなくなった時の絶望感は半端じゃなかった。
そんな緊張状態から抜け出し一息ついたところでの、テグネウの不意打ちだったので本当に驚いた。どん底まで叩き落された気分だ。フレミーの過去、七人目の正体、テグネウの策、色々なものが明らかになったのに、希望の光が未だに見えない。
これまでも度々愛を語ってきたシリーズだが、意外にもテグネウが手の内を少し晒したことで、今後は本格的に「愛」を語る物語になりそうだ。
偽物を本物に変えて、テグネウを超えてくれると信じて次を待とう。




アニメ化決定って……。頭に【悲報】って付いてもおかしくないレベル。
動きの無い話し合いと地の文の説明がメインのこのシリーズをアニメにして、良いことなんて何もないと思うんだ。
アニメ業界の方々は、ちょっとでも人気のあるシリーズを次から次へと食いつぶすのをいい加減止めてくれませんかね。