いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「紙透トオルの汚れなき世界」石川ノボロヲ(講談社ラノベ文庫)

紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)
紙透トオルの汚れなき世界 (講談社ラノベ文庫)

「ちょっと世界を滅ぼしに行ってくる」
そういってヒートテッ……いや魔装服に身を包んだ兄を送り数時間後。いろいろ心理的ダメージを受けた俺、里谷リトは奇妙な少女と出会う。少女の名は紙透トオル。彼女は差別と偏見に満ちたこの世界を作り替えようとしている少女だ。そんなバカなと笑う俺に、彼女は『奇源』と呼ばれる超能力を見せてくれた。そして世界を変えることのできる『夢の木』という神木が、この街のどこかにあるらしい。確かにこの世界は汚れているかもしれない。でも本当にそれでいいのか? 俺は彼女の願いを叶えてあげたいのか、それともいったいどうしたら……!?
恋と未熟と不思議が交差する第4回ラノベ文庫新人賞大賞受賞作品!

イチャコメだった。
超能力だの世界の変革だの色々な不思議要素は出てきたけれど「そんなのただのおまけですよ」と言わんばかりのイチャイチャラブコメディ。
イケメンでコミュ力も高い、女の子だけでなく男まで落とす天然人誑しな主人公・リトの俺TUEEE小説とも言えるかも。ラブコメでハイスペックな主人公だと読者の共感を得られにくいという弱点はあるものの、女の子の可愛いところを引き出すという観点では十分な働きだった。
前半の読みどころはすでにリトにベタ惚れの小夜子ちゃん。
彼女の人の心を読む超能力+表面はクールな性格(通常時)と、リトの明るくて性格+年相応のスケベ心がマッチして、非常にニヤニヤ度が高い。彼女のヤキモチ妬きでややSなところもGood。それにしても双方向羞恥プレイとは新しいw
後半になると主人公がヒロインと化す。
前述の小夜子とパッケージヒロインのトオルを軸に、何かとちょっかいをかけてくる巨乳先輩と、リトに懐く純朴?年下少女が加わった、リトを巡る女の戦いが楽しい。
あとがきによると家族愛がテーマらしいのだが、常に八方美人で綺麗事ばかり言っている主人公の言葉に肝心な場面での説得力はあるはずもなく、親に愛されていない訳ではないと分かるハッピーエンドなので、残念ながら訴えかけてくるものは特に無い。
でもまあ、イチャコメとして面白かったからそれでいいじゃない。