いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「狼と香辛料 XIX Spring Log II」支倉凍砂(電撃文庫)

狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)
狼と香辛料XIX Spring LogII (電撃文庫)

賢狼ホロと元行商人ロレンスが営む湯屋狼と香辛料亭』。幸せと笑いがわき出ると言われる湯屋を舞台に描かれる、旅の続きの物語、第2弾が登場。
コルとミューリが旅に出てしまい、湯屋は慢性的な人手不足に。ロレンスは大勢の客が訪れる繁忙期に向け、スヴェルネルの騒動で出会った女性・セリムを新たに雇うことにする。実は彼女、ホロと同じ狼の化身なのだ。
新参者のセリムの前では、女将としても狼の化身としても威厳を保ちたいホロだったが、なにやら浮かない様子で──?
電撃文庫MAGAZINEに掲載され好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『狼と香辛料の記憶』を収録!

狼と香辛料エピローグ短編第2弾。



愛娘が旅に出てさぞかし凹んでいるロレンスとか、セリムが来たことでホロの機嫌が悪くなってあたふたするロレンスとか、ヘタレロレンスが楽しめるんだろうなと意地の悪いことを考えていたら、当のロレンスが全然平然としていて、むしろ泰然といった方がいいほどどっしりと構えていて、残念なような頼もしいような複雑な気持ち。ロレンスも歳を取ったということか。いや、この場合は「歳を重ねる」という表現の方がしっくりくるかな。
但し、肉体的には筋肉痛&腰痛で凹んでたけど。こっちは「歳を取った」だ(苦笑)
最後の話のホロの悩みといい、色々なところに10年という月日の重みを感じる話だった。




以下各話毎



狼と花弁の香り
内容:石臼探しから始まる旅をしていた頃の思い出話
ラベンダーの匂いはイヌ科にはきつかろう。猫だと死に至ることもあるみたいだし。
結局昔からイチャイチャしてるじゃないかと思いながら読んでいたら、昔話が終わった後にしっかり握られた手を見せつけらて、やっぱり今の方が幸せオーラ強かったわと、独り身を二度殺す話。




狼と甘い牙
内容:コルとミューリの日常の一コマ(まだ二人が狼と香辛料亭にいた頃
ミューリちゃんお転婆の限りを尽くすの巻。これは流石にコルは悪くないだろう。
すぐ冷静になって相手の真意を探るコルも、ちゃんと謝れるミューリも素直でいい子。親たちとは大違いw
それにしても、この頃からこれだけの好意を寄せられていて、妹と言い切るコル坊の朴念仁ぶりには恐れ入る。




狼と羊の毛づくろい
内容:スヴェルネルの祭からの帰り(前巻第三話の続き)
この作品で羊飼いというとどうしてもノーラを思い出すが、そういう話は出てこなかった。それを理由にホロがすねたり、ロレンスをからかったりするかと思ったんだけど。
この話に限らず今回のホロはちょっと子供っぽかった。ミューリがいない所為か?
しかしホロ×羊飼いの杖……似合わんなーw




狼と香辛料の記憶
内容:セリムの働きぶりとホロの悩み
ヘタレロレンス期待してたの読者だけじゃなかったw
幸せではあるけれど変化のない日々を重ねていくことへの不安。人間でも感じるのに何百年と生きている神狼となればどれほどのものか。
最後があまりにも綺麗な終わり方だったので、あとがきの最後が「次巻でお会いいたしましょう」なことに違和感を感じてしまった。このラストシーンは今度こそ本当に終わりって時に取って置いてほしかったような。