いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「はたらく魔王さま!17」和ヶ原聡司(電撃文庫)

はたらく魔王さま!17 (電撃文庫)
はたらく魔王さま!17 (電撃文庫)

正社員登用試験に落ちた悔しさを仕事にぶつけ、いつも以上に神クルーっぷりをみせる魔王。だが、見た目とは裏腹に落ち込んでいた。しかも、何者かに襲撃され弱ったままのカミーオや、「大魔王の遺産」最後の一つの行方など、解決すべき問題も山積みだった。一方マグロナルドでは、店長の木崎に異動命令が出たことで、クルーたちに動揺が広がっていた。正社員という目標がなくなり、異世界に戻るのか、日本で仕事を続けるのか、今後のキャリアに悩む魔王のとる選択肢とは――。お仕事成分多めでお贈りする、庶民派ファンタジー第17巻!


11ヵ月ぶりの本編は介護回&木崎さん回。おまけでホワイトデー。
ついに魔王さまの世界にも来てしまった。現代日本社会とは切っても切り離せない「介護」の波が。
いつも世知辛さを笑いに変えて楽しませてくれるこのシリーズでも、流石にこの話題を笑いにすることは出来なかったか。魔界産のボケ老人はやることもキャラクターも強烈だったけど、その分真奥は憔悴して周りも余分に振り回されて、読者までどんよりした気持ちになるという。「介護」強すぎ。
キャラクターで印象強いのは今回表紙の木崎さん。彼女に移動命令が出たことで急転する真奥の立場。そしてまさかの猿江w いつもの出来る上司・いい女感より、無自覚な猿江副作用によりちょっと凹んでる姿が新鮮で良かった。
と、日本における真奥の立ち位置は大きな節目を向かえていたのだが、本題のはずのイグノラ討伐の方は、進んだようで実はほとんど進んでいない。
戦闘は派手だったけど、よく考えれば既に提示されている情報をおさらいしただけだわ、これ。情報が断片的で繋がりがないという読者はずっと感じていることを真奥や恵美も認識したことで、考察があったり新情報が出てきたりするのかと思ったのに……。最後の最後で天使側が仕掛けてきたところだけが進展らしい進展か。
進まないのはいつもの事なのであまり気にならないが、日本とエンテ・イスラのどっちも忙しなくて中途半端な状況が続いていて、出てくる情報がなかなか繋がらず、必要なピースの最後の一つも持ってるんだか持ってないんだか。何もかも中途半端で元々あったもやもやがさらに濃くなった。そろそろどこかでスッキリしたい。