いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「常敗将軍、また敗れる2」北条新九郎(HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる 2 (HJ文庫)

「あ、やっぱりティナじゃない」
突然そう声を掛けてきたのはティナと同じフードを被った小柄な人物。ティナだけはその声に聞き覚えがあった
「初めまして。私はリィス・ヴァサームント。ティナの姉です」
姫将軍であるシャルナ、傭兵団長アイザッシュと共に常敗将軍ダーカスに付き従っていたティナだったが正に最悪の人物と出会ってしまった。同じヴァサームント一族のリィス。生まれてから一度も勝ったことの無い腹違いの姉である。『常敗将軍』ダーカスを中心に繰り広げられる一大ファンタジー戦記第2弾!

いきなり内容の感想じゃなくて申し訳ないのだが、2巻の作りやあとがきから、もう何冊かは続刊を出せるラインをクリアできたんだ、よかった。と安堵したの一番の感想。
と言うのも、1巻に輪をかけて地味だったから。
1巻が国の存亡をかけた戦いで、10年前から仕組まれていた作戦まで出てくるような大規模な戦争、身も蓋もない言い方をするなら新人賞応募作にふさわしい見栄えのする戦争だったのに対して、2巻は準備期間なし、敵の情報ほぼなしという傭兵らしい戦場に、雇われ将軍らしいそこそこの規模の戦だった。そしてメインで語られるのは、戦いそのものよりも、戦争の現実や人心掌握の基礎などの堅実な教えと、それを聞く弟子たちの成長。個人的にはそこが好きなのだけど、ラノベらしい映えるシーンではないのは確か。
あとがきにも「今後のために規模を小さくした」とあるように、これをプロトタイプとして、ここから肉付けしたり変化させたりするのだろうから、見栄えは今後に期待ということで。
あと、一つ気になったのが女性陣の扱い。
ティナってこんなキャラだったっけ? どちらかというとアイザッシュの方が血気盛んで余裕のないキャラの印象だったのに、2巻は立場が逆転。作中後半では成長したと言われていたが、1巻の状態に戻っただけのような。それに足手まとい役をティナに取られてしまった形の元王女・シャルナは、特に何の役割もなくただ居るだけ。もうちょっと何かなかったのだろうか。
まあ女性陣の活躍に関しても、戦争の演出と共に今後に期待ということで。