手を動かして本の構造を知る

第16回図書館総合展が終わった。

エクスポも、おとなしくブースに出展品を並べたりモニターを見せるだけじゃなくなった。にぎやかにワークショップまでやる。

会期は終わったが、その後ドカンドカンとメールが来る。

12月11日には、国立国会図書館 東京本館 新館講堂で「日仏交流の過去と現在」シンポジウムがある。

フランス国立図書館からは、ヴェロニク・ベランジェさんが来日する。蔵書部写本課・日本資料担当の司書。

国立古文書学校において日本書誌学を研究し、平成 12 年
には国立国会図書館で研修もした人。

林望さんは、英ケンブリッジ大学に出向いて所蔵の和書の総合目録を作った。そのことは知られず、おまけで書いたエッセイ「イギリスはおいしい」が大ヒット。

積ん読してたリンボウ先生の「書誌学の回廊」日本経済新聞社刊を読んだ。

絶滅危惧種の学問といえば書誌学。物体としての本を調査・研究する。電子書籍に接点の無い分野。

本の構造を知りたくて、修理講座に参加した。

今までパビルス・羊皮紙・楮などの用紙、用字や絵の印刷、製本術の本を読んできたが、手を動かさないことには頭に入らない。

図書館でやる講座は、だいたい子ども向けの本の修理だ。乱暴に扱うし、貸し出し頻度が高いから。

練習で使ったのは、もちろん廃棄本。別名、もらう人を待つリサイクル資料ともいう。

竹村健一佐藤優の対談本「国家と人生」に、思わず失笑する。

実技は2つやった。

1つは、破れたページを補習する実技。本文ページを裂き、専用テープを貼る。

紙には厚みがある。たいがい斜めに裂かれてる。従って、貼る前に断面を合わせなければ、補習後に凹凸ができる。

2つめは、ハードカバーと本文束の離脱。

丸背の本は、両者が寒冷紗という布で繋がっている。カバーだけを持ち、重い本文束の重力に耐えられなくなると、すき間が出来、そして広がってガタガタになる。

修理道具も方法も、多種多様。手づくり製本家の栃折久美子さんの方法以外にも、いろいろなやり方が紹介された。

「おもちゃの病院」があるのなら「本の病院」もあっていい。

帰宅途中で「西洋の書物工房」朝日新聞出版刊を入手。著者の貴田庄さんは、パリで製本と装丁を学んだ。

書誌学者に限りなく近いんだろう。

★旅する目玉 辻彩香さんの人形 

♪旅する鼓膜 [https://www.youtube.com/watch?v=8rmxYH4Qqgo:title=Mozart - Piano Concerto No. 9 "Jeunehomme"
]