ALORC-Bottle-Craft-512-Logbook(Ⅱ)

AよりRへ。記録を継続する。(二冊目)

『カードファイト!! ヴァンガード』第43話――”勝利こそをリスペクトする”強さへの渇望。

『カードファイト!! ヴァンガード』ニコニコチャンネル

レン「もっと強くなればいいんです……そうすれば櫂はまた、君の前に現れるでしょう」

 持ち主が雨でズブ濡れになったにも関わらず、口の空いたデッキケースの中身が無事だとか、カードが光ることに誰も違和感を覚えないとか、(ストームブリンガー*1的な意味で)妖しいデッキがダークサイドのエネルギーをかもして風が起きたりとか。デッキトップに触っただけで強さがわかるとか……カードゲームによくあることだよね! だいたいそういえば収まる万能説。そしてますます「症状」が進んでいくアイチ君。第1話を見ると落差が激しすぎる。櫂君も今では信じられないくらい良く喋るし親切だ……。

(以下主観入りまくりの長文考察)

――多かれ少なかれ、「勝ち筋をイメージできる」ということはTCGにおける強いデッキ又強いプレイヤーのの必須要項のように思う。好きなカードを好きなように詰め込んで戦うというのも悪くはないが、リアルで規模の大きな大会クラスになるとハイランダーデッキ*2ファンデッキ*3はあまり通用しないイメージがある。「バベル」*4? あれはちゃんと考えて強いデッキなんじゃなイカ? 実際に使ってみたいとは思わないが。
……ともかく、一定の勝ち筋を見込んでデッキは構築されているもので、それと引きが噛み合えば勝てる! そういう観点からするとPSYクオリアがもっとも生かせるのは……瞬殺コンボデッキ*5ということになるか? でもヴァンガードってそういう感じのゲームじゃないような。

レン「君にいい物をプレゼントしましょう。これを使えば、君の力を今以上に伸ばすことが出来ます……」

 現時点で見る限り”PSYクオリア”という異能は、「サイバー流積み込み」ではなく「カードが積んである順番が分かる」*6程度の能力。あるいは「相手の手も読める」程度の能力も加わるか? ということは「シャドーパラディンデッキ」というのはこれまでの「ロイヤルパラディン」よりPSYクオリアを使うのに適している、つまり何時何のカードが手札に来るかわかっていればより強力になるデッキということかな。見た目通りの力ならどんなデッキでも最良の動きができそうだが、まあ最高の布陣ができたとしても負けるかもしれないのがカードゲームのいいとこだ。

 味方を犠牲にして云々は最近『遊戯王ZEXAL』でも言及されていた気がするが、私は思考ベースがMTG寄りで、なおかつ「山札も手札も場の駒も墓地も全てすっからかんで残りライフ1でも相手を倒せばそれで良し」派なので味方を喰らってパワーアップするドラゴン*7も問題があるようには見えなかった。むしろあれではコスト重くて一撃のパワーが上がっても総合的な攻撃力が下がって弱くなっていないかと心配になったくらいだ*8。あと金髪姉さんのロイヤルパラディンは言葉とは裏腹にアイチ君より強そうに見えなかったな……残念。

 他には以前からの懸念だが、同等以上のPSYクオリアを持つ相手とファイトした場合、「最善の勝ち筋を追った筈が、それでも負けてしまう」のか、「最初から負けると分かってしまう」のか。実際にその対戦が始まるまでわからんことだが。
 そもそもの問題として、「勝ち負けが決まっている勝負をわざわざやる理由があるか?」という事だ。今回は金髪姉さんに挑発されて、更に力を確かめ見せびらかす為にそれを受けた(なおかつノリノリで勝った)。ならば今後は? 戦う相手が居なくなる。勝負する意味のある(楽しめる)相手が居なくなり、誰も彼とファイトをしたくなくなる。それでもこの力を手放すことが出来ない……するとどうなるか……!?
 「もっと強くなれば良い」と囁き、アイチ君が櫂より強くなると言うレンさんの意図は、何処にあるか。此度は回想でしか登場しなかった(「強くない人間には価値を見ない」と勝手なイメージを押し付けられている)櫂君は次回まともに活躍するのか。アイチ君の暗黒モードはまだまだ続きそうです……。

レン「それでいい……力に酔いしれるのです。そして君は、その力なしではいられなくなる……」
アイチ「イメージしてください。僕の前で無力を思い知る、あなたの姿を!」

*1:マイケル・ムアコックの小説『エルリック・サーガ』に登場する魔剣。殺した相手の魂を喰らい、使い手の活力に変える。魂を渇望する独自の意思を持ち、勝手に人を殺したりもする。主人公エルリックは病弱で、この剣が無いと無力になってしまう。ファイナルファンタジー的な意味合いではブラッドソード。

*2:カードを1種類1枚ずつしか入れないデッキのこと。

*3:端的に言えば必ずしも強力ではない面白カードを中核において構築されたデッキ。逆にだいたいの状況下で強いカードが中核ならファンデッキとは呼ばれない。

*4:デッキ枚数200以上という特殊勝利条件カードを投入した、それ相応に数百枚のカードが積まれたデッキ。その姿は名の通り天を衝く塔の如し。

*5:複数のカードを組み合わせた相乗効果で最終的にワンターンキル・ワンショットキルを狙うデッキ。コンボパーツが引けない・回らないと悲惨。

*6:私はこれを見て印南さん(麻雀漫画『哲也 雀聖と呼ばれた男』)のガン牌を想起した。

*7:逆に言えばあれ以外は特に仲間を犠牲にしてるようには見えなかった。

*8:ドラゴンが食べた分をすぐ手札から場に補填できるのがヴァンガード。ただし返しの相手ターンでガードする手札が無くなる? つまり使ったターンに勝負を決めるべきってことか。