caguirofie

哲学いろいろ

#44

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第二部 踏み出しの地点

§11−3

前二節をおぎなっておきたい。
栗本慎一郎の言うように――その所説を字句どおりとってしまうなら―― すべては幻想なのだとすれば その場合には 供犠制度の名残りとしてのその文化構造の部分 これが なお近代市民の合理的な社会運営の場でも 尾を曳いているとしても その観念幻想的なものを 廃棄するとか あるいは極端に言って 肯定し強化しようとするとか そのどちらの行き方も 同じく幻想になるのだから それらが 無意味だと言わなくとも――つまり 《幻想としての現実》のかたちで意味を持つということだろうから―― その言うところは すべての思考と行動とは 相対的なものであり のっぺらぼうのものということなのであろう。言いかえると あれやこれや ちょっとした感想を述べることと 具体的な提言をおこなうこととが 同等の思想であり実践であるというものなのであろう。この行き方では 出発点にとって 必要条件(学識)と十分条件(出発進行の具体策)との二つとも 区別されない。極端にいえば 学識と幻覚とも 区別されない。

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