Microsave「モバイル金融サービスにおける詐欺」

Microsaveが公開しているレポートをご紹介いたします。


Fraud in Mobile Financial Services(PDFファイル)


ファイナンシャルインクルージョンを加速させるという期待のもと、急速に普及が進んでいるモバイル金融サービスの課題である詐欺の問題を正視したレポートです。

モバイル金融サービスにおける詐欺(fraud)は、「(現金かe-moneyで)利益を得ることや、他のプレーヤーの収入を打ち消すことや、他の利害関係者の評判を損ねることを目的として、モバイル金融サービスの生態系におけるプレイヤーが着手する、意図的かつ計画的な行動」(p. 1)を指します。


レポートの本文では、モバイルマネーで発生した詐欺が、具体的な手口や実際の事例とともに網羅的に記述されています。

顧客や代理店が行う詐欺として、貨幣の偽造・偽のSMS・クーポンの偽造・マネーロンダリング・資金横領・存在しない顧客の登録・不正出金などが挙げられています。

デジタル金融サービスに固有のシステム面の脆弱さを突いたものとしては、パスワードの悪用・顧客の記録への不正なアクセス・顧客のアカウントからの不正な資金移動・SIMカードの不正な使い回し(unauthorised SIM swap)などが挙げられています。


振り込め詐欺や銀行強盗が後を絶たないとおり、お金という大切なものをあつかう事業であるがために、ファイナンシャルインクルージョンの拡大という期待の反面で、悪い意図をもった者に狙われてしまうことも多いようですね。

これらの詐欺を未然に防ぎサービスを健全なものとするために、結論では、金融教育や代理店の監督に力点を置くことが掲げられています。


この2月に公開されたCGAPのBrief「デジタル・ファイナンシャルインクルージョン」の後半でも、デジタル金融サービスに特有のリスクが大きく取りあげられており、サービスの大規模な普及にともない暗黒面としての詐欺が問題となりはじめていることがみてとれます。

ブログではご紹介できていないのですが、「マイクロファイナンス実施機関のためのデジタル金融サービスのリスクアセスメント」という文献では、様々なリスクを分類したうえで、金融事業の担い手がそれに対処するための方策が論じられております。


GPFI/BIS「デジタル・ファイナンシャルインクルージョンの変化しつつある風景の基準を設定する」
http://d.hatena.ne.jp/branchlessbanking/20141103/1415022907