世銀「グローバルFindexデータベース 2014」

世銀が先月公開したレポートをご紹介いたします。


The Global Findex Database 2014: Measuring Financial Inclusion around the World(PDFファイル)


2011年版の続編となるレポートで、預金口座(accounts)、支払い(payments)、貯蓄(saving)、与信(credit)のプロダクトごとに、金融サービスの普及や利用の程度が記されています。

データを収集する調査は、Gallup World Poll社によって143の国・地域の約150,000人を対象にインタビュー形式でおこなわれたとのことです。もちいられた質問票は85ページ以降に掲載されています*1


銀行口座を持つことは最初のステップに過ぎず、様々な使途のために口座を定期的に利用してもらうことで、ファイナンシャルインクルージョンの理念たるフォーマルな金融利用の促進が達成されるという趣旨のもと執筆されています。

この意味において、モバイルやデジタルの活用は副次的な位置づけであり、使われている口座と休眠口座(dormancy account)の区別(p. 18)や、口座保有者がデビットカードやクレジットカードを保有する割合(p. 20)や、貯蓄をする理由(p. 47)や、起業資金の原資(p. 53)など、金融行動の多様化にむしろ重点が置かれています。

とはいえ、ビットコインフィンテックへの言及が見当たらないことや、筆者が自ら認めているとおり(p. 9)、近年のトレンドである国際送金(international remittances)をカバーしていないことには物足りなさを感じるかもしれません。



金融機関の口座を利用するための障壁(p. 60)


これらの現状把握を踏まえ、4章「OPPORTUNITIES FOR EXPANDING FINANCIAL INCLUSION 」では、現金の支払いや国内送金や貯蓄をフォーマルな銀行口座を介したものにする提案がなされています。

口座をはじめとする競争力のあるプロダクトを作っていくことを金融機関にうながすため、「デザイン」という言葉が使われているのが印象的です。

内容そのものは、手数料収入や預金の調達のために商業銀行の企画部門がおこなう調査・分析にも似たものがあり、違和感なく読むことができました。


世銀のウェブサイトや、関連する記事へのリンクを貼っておきますね。

*1:このような大規模かつ国際的な調査に携わることのできる調査会社やシンクタンクの業務をうらやましく感じました。