続いてリオのカーニバルへ


実は今回、サンパウロだけでは飽き足らず、リオにも行っちゃいました。
Bumbaという日本語情報誌が毎年主催しているマンゲイラ参加ツアーに途中から混ぜてもらうことにし、みんなは大型バスで移動だけど私たちはヴィラマリア明けの夜の飛行機でリオに向かいました。
わ、われながらタフ…。


その夜はホテルで衣装を受け取り、試着して不備があれば調整し、翌日の本番に備えた。
今回のチームは、リオの歴史ある名門チームのひとつ、Mangueira(マンゲイラ)。マンゴーの木、という意味であります。Bumbaツアーでは毎年このチームで参加することになっているそう。


本当は、今年はリオでもやはり日系移民100周年をテーマにしたチーム、Porto da Pedra(ポルト・ダ・ペドラ)があり、そちらでの出場も一瞬考えたんだけどね。
一度リオの日系団体(そこが取りまとめをしていた)に問い合わせたら、衣装代がヴィラマリアの1.5倍高いのになんだかシンプルすぎるはっぴでねぇ。はっぴというか、柔道着というか。思いっきり日の丸デザインだし。
もうちょっと魅力あるものだったらそっちに出ても良かったんだけど、おそらく一生に一度あるかないかのリオのカーニバル出場。だったらやっぱり、リオらしい、派手な羽付きの華やかな衣装がいいよなぁ、なんて思って。(この衣装代がサンパウロとは比較にならないほど高価なんだよぉ。)


ということで、ごめんね、日系テーマに協力できなくて…。
という後ろめたさをちょっと感じつつもマンゲイラに備えて歌詞の暗記に励む夜。


そう、カルナヴァル参加は誰でも衣装代さえ払えばステップを踏めなくても出られるというものだけど、一つだけ頑張らなければならないことがある。
それは、歌詞の暗記であります…。
ただでさえポル語の歌詞なんて覚えにくいのに、しかも今回、リオに来るまではヴィラマリア一辺倒だったので、ほとんどマンゲイラの歌詞は白紙状態…。
サビだけはなんとか、という状態だった。こ、これはまずい。


Bumbaのリーダーからは、「とにかく歌うことが大事、暗記は最後の1秒まで頑張るように!歌えなかったらガムをかむでもお経を唱えるでもいいから、口パクで歌うふりをするように」との指導が入っていた。
そうだよなぁ、ヴィラマリアでも歌については非常に厳しくされたからなぁ。
久々にi-Podを活用し(みんなのi-Podよりずいぶん大きくて驚かれた。そうよ私のは初期の白くて分厚いやつ。でもまだ健在だぞ〜)、半分睡眠学習的に耳にしながら眠りにつく。

リオのチーム、マンゲイラで踊る


それにしても天気が悪いリオである。
パレード当日、朝から土砂降りの雨…。どうなってんの?
今回、リオ観光も楽しみにしていた日本からのお客さんたちは、本当にお気の毒だ。ポンジアスーカルにのぼっても、キリスト像にのぼっても、ほとんど視界ゼロだったんじゃないだろうか…。


私たちも、夜までの自由時間は子どもとビーチへ繰り出そうと思っていたのに、これじゃ何も出来ない。悲しいリオの街よ…。


お昼は有名シュラスコ店「Porcão」(ポルコン)で食べることになっていたけど、ここが激混みでビックリ。ウェイティングスペースに立つこともできないくらい混んでた。カルナヴァルだから閉店しているレストランも多いのだろうか。
なんとか食事にこぎつけたけど。


その後、バスで少し市内を回り、ホテルに戻って仮眠。今日のマンゲイラパレードは最後から2番目、午前2時半くらいのスタート予定だ。午前1時のホテルロビー集合までまだまだ時間があったので、ひと眠りした。


夜9時過ぎからホテルの部屋でテレビ中継を見始めた。うとうとしながらも、やっぱり見たいよリオのカーニバル
2チーム目が日本テーマのポルトダペドラ。興味津々で画面に見入った。
けど…。なんだか首をかしげたくなるような山車や服が多かったような印象。同じ日本テーマでも、ヴィラマリアの方が何倍も素敵だわ!と思った。


特に不思議だったのが、山車のてっぺんに寿司桶みたいなのが乗っていて、なんとその中に仰向けの人形。それって力士?こけし?赤ちゃん??? なんだかわかんないけど、ふんどし一枚に見える白い肌の人形が桶にひっくり返っているように見える。
あれはいったい何を表現したかったんだろうか…。


例の、はっぴか柔道着か、という日系人グループ用の衣装軍団はなかなか見ごたえがあった。最前列にはコイくらいの年頃の子どもたちが元気に飛び跳ねていた。そっか、子供も出られるんだね。あれはリオ日本人学校の生徒さんたちだったのかな?
遠くパラナ州からも100人規模で日系人のみなさんが参加しているとも聞いた。総勢200人目標だった日系グループ、12月末の段階では40人程度しか集まっていなかったとか。
それが最終的に250人くらいまで膨れ上がったと言うのだから大したもの。やるじゃん、リオの日系社会!!!


さてさて。集合時間1時間ほど前に、日本人踊り子仲間6人が一室に集まり、メイク大会となった。今日の衣装はアレクイン、いわゆるピエロである。ピエロらしい顔ってどうなの?と疑問を抱きつつ、みな、普段のナチュラルメイクとは打って変わって、アイラインばりばり(よさこい風?新体操風?)、マスカラがっちり、まぶたはカラフルにシャドウを入れ…
それはそれで楽しいひと時。これこそが現実離れ。子どもと夫から解放(?)され、さぁ弾けるわよ〜〜〜と鼻息の荒い主婦軍団の私たち。(なお子どもと夫たちはホテルの部屋でお留守番、というか睡眠中〜)



そして1時にロビーに集合し、他の男性参加者らとともに、総勢20名くらいの日本人踊り子が専用バスに乗り込んだ。観光客の参加が多いリオのカーニバルだからか、ヴィラマリアのようにいったんチーム練習場に全員集合!ということはないらしい。車はスムーズに進み、すぐにパレード待機場所に到着したようだ。なんせ、初めて来るリオのサンバ会場。勝手がよくわからないんだけど、サンパウロのように囲われた専用待機場ではなく、一般の道路を封鎖して待機場所にしているようだった。


雨はとりあえず止んでいたけど、ほぼ一日中降り続いていたせいで、道路に水たまりがバンバン出来ている。ズボンのすそのひらひらが泥水に漬かっちゃうよぉ…と、気になる気になる。




途中、他のグループの軍団を追い越しながら自分たちのグループを探す。マンゲイラのチームカラーである緑とピンクを基調にした服が多く、全体的に可愛らしい印象だなぁ。かくいう私たちの衣装もピンクとグリーンを含むマルチカラー。
どちらかというと単色づかいか一色のグラデーションでまとまりがちなサンパウロの衣装と比べると、ずいぶん派手で華やかな雰囲気。つくりもしっかりしていて(パーツのそれぞれに高級感があり、のりがはがれそうな部分がない!)これがリオなのねぇ。さすが高価なだけあるわ。


なんと今回の出場位置は、最初の山車の直後であった。30〜40あるグループの中でもかなり前の方となる。ヴィラマリアがかなり後半だったので、これは新鮮な体験だ。
前半と後半ではパレードしている実質時間にだいぶ差があるというけど、どうだろう…。


みんなで写真を撮ったりしていると、知らず知らずに開始時間が近づいていた。衣装の中にカメラを隠し込み、テンションを上げて、いざスタートである。



サンパウロでは横一列7人だったけど、ここでは10人と言われた。でもあまりきっちり守れてないけど(笑)
私はたまたま列の左端になり、沿道のお客さんが手の届く場所にいる、という環境。お客さんとのアイコンタクトが楽しい位置である。
今回は手に棒を持たないので、割と自由に踊れるのがうれしい。進行も心なしかゆっくりだったので、一か所にとどまっている時間も結構あった。なので、調子に乗って早いサンバステップを踏んでみたりもした。
すると拍手してくれるおじさんがいたりして、素直にうれしくて楽しい。今だけは私を注目してくれているのね、というのがうれしい。


やっぱりサンパウロより客席がワイドで、その数も多い感じがした。そして、パレードの道のりが長い気がした。途中、結構な雨に降られ、どろどろになりながら足元を気にしながら進んだせいもあるだろうか。練習なし、本番一発勝負のマンゲイラ… おーい、ゴールはまだぁ…と途中で叫びたくなったよ。


そして肝心の歌詞でありますが、一夜漬けで結構頭に入ったんですよ、これが。メロディーが体に染みつけば、口パクもしやすいってもので。ところどころ早口の部分は最後まで覚えきれなかったけど、周りの、英語をしゃべるまったく予習ナシと思われる外国人軍団よりずっとずっと歌っていたつもりよ。


リオはそもそもパレード時間の規定が80分と、サンパウロより20分長いのである。ということは実質45分くらい踊っていたんだろうか。
やっとゴールに着いたらもうヘトヘト。サルバドールでのバッハオンジーナコース並みに疲れたわ。


ゴール後は、それぞれ団体ごとに別行動という感じで、私たち日本人軍団は迎えのバスとの待ち合わせ場所へ移動した。そこはちょっと雰囲気が悪く、サンバ会場を出たらすぐ高架下みたいになっていて薄暗く…やや怖い感じ。これがリオなのか。



そういえば帰り道でブラジル人のおじさんに、
「今年はポルトダペドラが日本をテーマにしてるの知ってるでしょ?どうしてそっちに出ないでマンゲイラなの?」と不思議そうに聞いてきた。
そうか、リオでは、カルナヴァルで日本テーマのチームがあるってこと、みんなよく知ってるんだな。東洋顔はみな、そっちに出るのが普通だと思うよなぁ。
うーん、何て答えようか…と一瞬悩んだけど、シンプルに、「そりゃ、マンゲイラが好きで、毎年マンゲイラと決めているからよ!」と答えておいた。
そしたらおじさんは、「うんうん、そうかそうか」と満足顔でうなずいてたよ。彼もマンゲイラファンだったんだね。


バスに乗り込んだら一気に眠気が襲ってきたけど、眠る間もなくすぐにホテルに戻った。


今回の移動はなんてラクチンなんだろうか。パレード開始ほぼ直前のいいタイミングで会場入りし、帰りも終わってすぐにホテルへ。移動のロスや待ち時間がほぼ皆無に近かった。ヴィラマリアでの移動があまりに辛かっただけに、うーん、さすが個人と団体参加の違いだわね、と実感させられたのであった。


ホテルの朝食が5時から始まるということだった。部屋に戻ったのが4時ちょっと前だったので、シャワーを浴びて化粧を落とし、テレビで最後のチーム(Viradouro・ヴィラドウロ)を鑑賞した。このチームがまたものすごいテーマでねぇ、震撼:鳥肌モノ、というもので。即席スキー場(山車)は現れるわ、そこで本物のスキーやスノボをする人がいるわ、血まみれのへその緒つき胎児の山車あり、背中にチャッキー(ホラー映画のキャラ)を背負う衣装ありで、もう何を考えてるんだか!というチームであった。
セクシー女優のジュリアーナ・パイスはここに出場していた。サンバ踊れるんだ、彼女。


そうこうしていたら5時になったので朝ごはん。その後やっと、ベッドで眠りに着いたのでした。
ああ、これで徹夜というか昼夜逆転生活は何日目かしら…