南アルプス天然少年団

南アルプス天然少年団

通りすがりの傍観者の足跡。

『音楽主義60』

http://www.nexus-web.net/ongakusyugi/
フリーマガジン。
特集記事が、『「ロックするアイドル」大研究!! 注目グループの仕掛人に戦略を聞く!』。
取り上げられているアイドルグループは、BABYMETAL、BiS、PASSPO☆ひめキュンフルーツ缶アップアップガールズ(仮)


まず、『「アイドル×ロック」のクロスオーバー激動史』という前文。

“ここ1、2年でアイドルとロックのクロスオーバー化が進んでいる”なんてことがよく話題になるが、正確には“世間がそれに気づいてから”1、2年なのであって、すでに10年以上前からそれは始まっていた。

という文章に続いて、かねてよりモーニング娘。をはじめとするハロプロ系のコンサートにはロック系のTシャツを着ているファンが少なからず居たということを指摘。一部のロックファンには既に認められていたのではないか、と。
ハロプロの場合、アレンジャー経由の楽曲派ヲタがそれなりに居たこともあると思う)
そんななか、ターニングポイントになったのは、やはり、メロン記念日This is 運命』だろうと。
しかしメロンはその後路線が迷走し、ビークルらと組んだロック化計画は遅きに失した、と。
また、メロンはアイドルの枠からはずれてロックに寄り過ぎた、とも指摘(筆者はそうは思わないが)。
この「アイドル×ロック」史、おおまかな流れとしては、
メロン記念日PerfumeももいろクローバーZ→…
という評価のようであるが、筆者はPerfumeももクロもよく知らないので割愛。
最後に、現在のアイドルの寸評の中でアプガをメロン記念日の後継者としているが、これは双方のヲタである筆者にもやや違和感がある。『お願い魅惑のターゲット』唄っているから後継といえば後継だが。
確かにアップフロント幹部からも“ハロプロの亜流”と言われたメロンと、ハロプロから追い出されたアプガは立ち位置的には近いかもしれない。


このあと各グループの仕掛人とされる、KOBAMETAL(BABYMETALプロデューサー)、渡辺淳之介(BiSマネージャー)、林純司(PASSPO☆プロデューサー)、伊賀千晃(ひめキュンフルーツ缶プロデューサー)、山田昌治(アップアップガールズ(仮)チーフマネージャー)各氏のインタビュー。
各グループの発端、企画、コンセプト、成り立ち、その後、そして今後の展望など。
これは「アイドルがよくわからなかった」という林氏や伊賀氏と、“アイドルを知り尽くした”山田氏とを対比してみると面白い。
また、渡辺氏の「(BiS結成前の)プー・ルイソロの時はロック色を入れようとしたがうまくいかず、BiSになってから本人たちの色を生かしたらロックに近づいた」という話が興味深い。
これなどは、ソロのアイドルよりもグループの方がロックバンドに近づく何らかの作用が生まれやすいということなのだろう。
だから、かつてメロン記念日を「楽器を持たない至高のロックバンド」と評した『Rooftop』椎名宗之編集局長は圧倒的に正しいのだ。


山田氏はさすがに、モーニング娘。を見てきた人だけに、
「ロックファンを意識した音作りはしていない」
「アイドルとして評価されたんだから、そこを捨てる必要はない」
「アイドルとは、才能のある数少ないコが死ぬほど努力してつかめるかつかめないかみたいな世界」
と、アイドルに対して厳しく、また、アイドルというものに高いプライドを抱いているようにうかがえる。
山田氏がアプガのメンバーに言っていること、
「死ぬほど頑張って結果がついてきたら最高だし、ついてこなくても、これだけ真剣にやってたんだよって言えたら幸せじゃないか」「ちょっと暑苦しいんですけど(笑) メンバーが暑苦しく見られるのは僕がそうだからかも」
なるほど、古川小夏の暑苦しさの大もとは、この人が発している熱量であったかと(笑)
(そういえば以前、古川殿は山田氏のことを「ウチのパパ」と言ったことがある)


最近のアイドルのロックフェス出演や、ロックからアイドルへのファン流入については、各氏表現の濃淡はありながらも、口を揃えて言っているのは「ロック界のコマ不足が影響している」ということ。
(山田氏は「そこに市場があるなら」という表現)


メロン記念日がアイドルとして初めて新宿LOFTでライブを行ったのも、ロックフェスに出ようと足掻いていたのも、わずか数年前のこと。
今や新宿LOFTでアイドルライブが行われるのも、ロックフェスにアイドルが出演するのも当たり前のことになった。
今年、ハロコンFUJI ROCKとTIFが重なったのは象徴的な出来事だったのかもしれないな、などとも思った。
なにしろ「どれに行こうか?」と、迷っていた人が居たくらいなのだから。