わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

より、なまぬるったい

 七時起床。せっせとドウブツの世話や身支度を済ませる。昨日は冷え込みが厳しかったが日中は春のような、というよりは春そのものの暖かさであったが、今日は朝から春。皮膚が、筋肉が、そして脳みそがなまぬるったく感じる。
 十時、霞ヶ関へ。一時間少々打ち合わせをしてからすぐになまぬるったい空気に覆われた街中を抜けて帰社/帰宅。午後からは某生命保険会社、某企業グループの案件を同時進行。わざとやったのではなく、問合せや相談や変更の電話が相次いでいたので必然的にそうなってしまった。なまぬるったくなっていた脳がこんがらがってしまった。
 企画変更にともない、十九時ごろ慌てて吉祥寺の「リブロ」へ資料探しに出かける。理由は書かないが、日本史の教科書と年表、それから中上健次の発言集を購入。せっぱ詰まっているというのに「HMV」にも寄ってしまい、衝動的にPILを買ってしまった。
 夜は年表と教科書を見ながらコピーを考えた。

Public Image Ltd.「Metal Box」「Flowers of Romance」

 元セックス・ピストルズジョニー・ロットンが「ジョン・ライドン」と改名し、キース・レヴィンやジャー・ウォブルと結成した超実験的バンド。ぜーんぜんピストルズっぽくないところが、ピストルズにあまり興味のないぼくは気に入っている。二枚とも持っていたし愛聴していた時期もあったのだが、田舎から東京へ引っ越したときどっかにいっちゃった。

Flowers of Romance

Flowers of Romance

Metal Box

Metal Box

中上健次『現代小説の方法』

 中上のインタビュー集みたい。中上の物語論がナマの声で読める貴重な一冊。だと思う。

現代小説の方法

現代小説の方法

騒ぐハゲインコ

 花子、ぼくが大慌てで吉祥寺へ行っているあいだ、ずっと玄関で、ぼくのスリッパを暖めるようにその上に乗って帰りを待っていてくれたそうだ。だが、今はわがまま爆発中。
 麦は相変わらず寝てばっかりだなあ。
 ぷちぷち、37g。抜け毛が終わると体力的にも精神的にもラクになるらしく、今日はうっすら全身がハゲていることなどおかまいなく、ギョーギョーと騒ぎつづけていた。でも、カメラを向けると怖くて固まる。

金井美恵子『噂の娘』読了

 最後の最後で、この作品は数十年後に母の葬儀を終えたあとに、弟と美容室に預けられたころの記憶を語り合ったことを書きつづったものだ、ということが明かされ、そこで作品は終わる。預けられたころの記憶から数十年の空白がある。読者はその空白を、父の病気のことや母が看病に行っていたこと、どうやらそこに父の愛人がからんでいること、そして美容室の娘たちと語り合った大人の「噂話」などから想像するしかない。その想像がどんな方向に向かっても、作者はラストの一行で作品世界における「現在」へと引き戻す。その、引き戻しっぷりにぼくらは感動してしまうのだ。かつて体験したことのない読後感。不思議な小説でした。ラストだけ引用。

(前略。ここまで、延々と商店街のある店先の、夏の昼下がりの様子が描写されている)
 あの人たち、あの娘たちは今どうしているのだろうか、と弟が煙草をガラスの灰皿に押しつけて消しながら言い、私は黙っている。
 私たちは、たった今、母の葬式をすませて来たのだ、と書こうとして、指はためらいに痙攣し、痙攣しつづける。

噂の娘 (講談社文庫)

噂の娘 (講談社文庫)