瞳の奥の秘密

長年務めていた検察官の仕事を定年退職したベンハミンは、独り身であるためにすることが無く小説を書き始める。

小説の内容は真実の話。70年代、政治腐敗していたアルゼンチンでの25年前の殺人事件から始まる。事件を辿っていくうちにベンハミンは事件に対するモヤモヤと同時に、イレーヌという女上司への想いも思い出していくのだった…


観賞日8月19日
【85点】


アルゼンチン映画は初鑑賞。おすぎとピーコが某嵐番組でかなり推してたので観てみました。


まぁ観る前は単なるサスペンスかとも思っていましたが、これが良い意味で裏切られて…

昔の事件を再び掘り下げて真実に辿り着くというありがちな感じの映画に見えますが、んなことは全くありません。














今作は愛がメインテーマになっています。それも安っぽいものじゃなく、熟成されたかのようなもの。

そしてその想いは観るものに圧倒的な力としてのしかかる。ていうかもう人間ドラマの凄みの極みか。


写実的とも言える情緒溢れる音楽が物語に華を添える。エンドロールでもスペイン語全く読めないけど(笑)、この音楽があるおかげで浸れる

やっぱ映画は芸術だなぁとしみじみさせられる作品。

なんか最近こういう感じあったなと思ったのは、『ゴッドファーザー』からでした。この作品には映画誌でトップ3に選ばれる映画の雰囲気がある。


















監督はDr.ハウスシリーズなどを手掛けている人だけあって、物語は完璧に近い流れ。

始まりでは全く観ている人が状況を飲み込めないが、観ていくと、「なるほど!こう繋がるのか☆」と思わず言いそうになるほど見事。伏線の引き方が尋常じゃなく上手いのが効いています。

しかもそのなるほどと納得した部分で物語が終結かと言えばそうでは無い。愕然としたくなるような事実が待っている。
















あと主役がけっこう髪型やら髭がマラドーナスタイルな感じでダンディー(笑)

まさにラテン系らしさと言った感じ






瞳の奥の秘密』というタイトルが示すとおり、登場人物の瞳の奥に隠している感情は直接語られることは少ないものの、観る人に色々想像させる力があります。




名作のひとつの要素として「考えさせる」力があると思いますが、今作はまさに人物達の瞳にそれがあると言えるでしょう。