キック・アス

ニューヨークに住むデイヴ(アーロン・ジョンソン)は、コミックのスーパーヒーローに憧れているさえないオタクの高校生。
そんな彼は本物のヒーローになるべく通販でコスチュームを購入、「キック・アス」として活動を開始するが、只の高校生なので当然暴漢に返り討ちに合う。
しかし、ある時に戦っている映像がYoutubeにアップされ、たちまち人気者に。

一方マフィアのボス、ダミコは最近組織を襲った人間が「キック・アス」だと勘違いするが、父娘のヒーローである「ビッグ・ダディ」(ニコラス・ケイジ)と「ヒット・ガール」(クロエ・グレース・モレッツ)というヒーローが他にも居たのだった…


観賞日


2010年12月24日

【75点】




この映画を
一言で言うなら、
快作?いや怪作だ!?





今作はアメコミが原作。

だが、アメコミ映画の『アイアンマン』、『X−MEN』などの持つスタイリッシュさはここにはない。

上の写真の右が主人公、「キック・アス」なのだが、ダサい。
うん、圧倒的にダサい。




だが、ダサいのは確信犯だ。

あえてのB級映画。というつくり。


主人公はダサい。
さらに「ビック・ダディ」のコスチュームは、『WATCHMEN』の「ナイトオウル」と、「バットマン」を足して2で割ったようなもの。これはもう確信犯的だろ。
さらにさらに「大いなるチカラには大いなる責任が伴う」というスパイダーマンの台詞も引用。

とにかくパロディやらそういったものだらけ。

だからといって、単なる真似っこ映画かと思えば、全くそんなことは無い。

















なんといっても全編に渡ってさえわたるのは、
超ブラックなジョークや下ネタ。

正直「道徳的にマズい」みたいな評価があったのも納得がいく(笑)
(映画サイトの評価は総じて高い)

特にぶっ飛んでるのは、「ビッグ・ダディ」(ニコラス・ケイジ)と「ヒット・ガール」(クロエ・グレース・モレッツ)の親子のコンビ。

自分の復讐の為に、娘を殺人マシーンにしてしまうのもその時点で大分ヤバイが、
会話内容が常にヤバイ。

プレゼントがバタフライナイフだったり、日常会話に拳銃の型の話が出てきたり。

ありえなーい、という感じで爆笑。

この映画はとにかく、このブラックさが面白い。
















若干描写がグロいので、観ていて少しきつかったかも。
ヴァイオレンスなのが苦手だとしんどい。


しかし、そのグロさもB級映画らしさを演出する道具であることはたしか。


さらには「ヒットガール」の純粋な殺戮性をも演出している。
まるでゲームでもするかのように人を斬り、撃ち、殺していく。

しかし、この映画が秀逸なのはその殺戮シーンが様々なファンキーなBGMの上で行われていくことによって、残虐性と娯楽性の両方を両立させている点。

あきらかにけっこうな暴力シーンだけど、音楽がそれをファンキーにする。

あまりにも凄すぎて笑ってしまうくらいだ。





その「ヒットガール」はクロエ・グレース・モレッツが演じているが、
この若さでこの演技レベルかと目を疑う。

本当に13歳か。この新鋭の存在もこの映画では大きな役割を果たしているのだろう。













ここまで、いかにこの映画がふざけたコメディものか、という感じで説明していたが、

実は真剣なテーマも多数用意されている。



殺戮マシーンの「ヒットガール」は果たして本当のヒーローなのか、という問いかけや、誰もがふとしたきっかけでヒーローになりうる可能性の提示。

そして、Youtubeを通じた人々の反応など、今の世相も反映している。






はっきり言って、ここまでコメディと真剣さを融合した今作は凄い。
アメコミ映画の新しい可能性をも提示しているし。
ハンパじゃないよ。

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