天使と悪魔


教皇が病死し、コンクラーベ(時期教皇選出)が始まっているヴァチカン。
そんな折、400年前に弾圧されたガリレオ・ガリレイを中心とした科学者集団イルミナティが復活し、ヴァチカンへと復讐を開始する。彼らは4人の教皇候補を誘拐し暗殺を予告、さらに時限爆弾を仕掛けたと予告する…
ダ・ヴィンチの暗号を解いた宗教学の権威、ロバート・ラングドントム・ハンクス)は果たして謎を解き、暗殺と爆破を阻止できるのだろうか?


観賞日

2009年5月29日




【73点】







今作は、
日本でも大ブームを巻き起こした『ダ・ヴィンチ・コード』の作者ダン・ブラウンによる小説『天使と悪魔』の映画化作品だ。

再び監督ロン・ハワードと主演トム・ハンクスのコンビでの映画化ということでなんだかこなれた感もある。






前作の映画は、中途半端だとかわかりにくいだとかで大ブーイングをくらっていましたが、
今作はその反省を生かしてTHE・娯楽大作に傾きました。
(それが本当に良いのか悪いのかはわかりませんが…)

個人的にはその選択は大正解だったと感じる。


なぜなら無理に2時間の尺に無理やり押し込めるには、宗教的背景も分量もあまりに多いからだ。『ハリーポッター アズカバンの囚人』などのように中途半端になるよりも、テーマを集中させた方がわかりやすくもなり、映画としてスリム化も図れる。


もっと深く作品に浸りたい方は、原作で保管すれば良い。少々乱暴な理論かもしれないが、なにはともあれ映画としてはこれでOKだと思う。




















そして非常にスピード感に特化した作品だ。
そのせいで謎解きに参加できないと嘆いてはいけない。

ラングドン大先生が素晴らしいうんちくと知識を披露してくれる。
そしてどんどん物語は先に進んでいく。


だが、舞台が舞台なだけに、ヴァチカンの様々な場所を駆け巡っている感覚に襲われる。
そのロケーションだけでもお腹いっぱいなれるのが今作の素晴らしいところ。

そしてやはり説得力が違う。舞台のチカラはここまであるものか。




神聖なテーマ・場所を娯楽作品として扱うその根性にはけっこう感心もする。
特に宗教はナイーブでもあるし。

けっこう日本的な感性かも?日本の漫画だとわりと自由に(あくまできちんとした背景の下で)宗教テーマは描かれるし…

というわけで割と日本人には受けるテーマですよねー












また、宗教の解釈やら科学との間での問題点など、今回も娯楽だけでなく、何かこちらに考えさせるような内容に。


ただ、一つ心配なのは無宗教で、歴史をまともにやらなかった人が観て、宗教への態度、思い入れや、宗教に執着し過ぎて狂う人間を理解できるかどうか。


自分も専門家では無いので大きいことは言えないけど、
前作や今作を観て、宗教についてあまり知らなかった人達が断片的にでも理解してくれると良いのではないでしょうか。


ラストシーンはそういう意味も内包しているのではと。

とにかく、宗教と科学の関係性について一考させられること間違いなし。













相変わらずダンブラウンは中2病が炸裂してて、陰謀ものが好物の私は美味しくいただけましたとさ。

またダンブラウン映画観たいと思わせる映画向きの壮大なストーリーでした。