神様のカルテ


長野県松本市の本庄病院。内科医・栗原一止(櫻井翔)は「24時間365日」を掲げる救急外来で忙しなく働いていた。時には専門外の治療まで行うことでなんとか夜勤を乗り越えていたのだった。
そんな一止も最愛の妻・栗原榛名(宮崎あおい)が待っており、旅館を改装した風変わりなアパート”御嶽荘”での仲間達のとの暮らしがあった。


ある日、一止は信濃大学病院の研修に参加することになる。そこで一止はその設備や組織に医療のある種の理想系をみた。そして大学病院からの誘いを受けはじめるが、ある患者との出会いが彼を悩ませるようになる…




観賞日

2011年9月6日








【75点】












2010年、本屋大賞第2位に輝いた(1位は「告白」)作品「神様のカルテ」の実写映画化。

櫻井翔宮崎あおいが主演だということで、大きく注目を集めているようで、学生や若い人が観客で多かった気も。

ちなみに原作は未読です。






ネットのレビューでは「駄作、ひどい」といった意見から「泣ける、感動した」という意見まで非常に幅広い評価が散見されたが、わりと私は後者のほうの意見に近い。























物語はそこまで起伏があるわけでもなく、淡々と進んでいく。
しかし、映画に出てくる人々の優しさがその淡々とした物語を自然なものだと感じさせてくれるので、そこまで苦ではなかった。
特筆すべき事態があるわけでもないのもまた事実なんだけれども。




特に榛名を演じた宮崎あおいがさながら聖母のようでマジかわいい…
じゃなくて、一止の心の支えとなっていることがはっきりとわかるほど演技を見せてくれた。
”人間味溢れる”というよりも物語の中での女性として、人々を癒してくれる日の光のようだ。





















映画のパンフレットでも書かれていたのだが、この作品はある意味ファンタジーの面白さがもともと原作にあったらしい。

救命救急の現実や終末医療、医局など、ともすれば重いテーマが様々に出てくるが、全編が全てが重くなく、フランクに感じられる部分があるのは、そのファンタジー要素が緩和させてくれるからだろう。

前述した榛名のような存在や”御嶽荘”の人々(原田泰三、岡田義徳)の面白みがそのファンタジー要素にあたる。
ここがあるからこそ、医療モノにありがちな重さを軽減し、かつ終盤の感動場面とのギャップをつけることが出来る。







残念な点は、折角この映画の特色でもある”御嶽荘”があるにもかかわらず、少し中途半端になり感情移入しにくかった点。

けっこう同居人がいいキャラをしていて、そこが普通の医療モノとだいぶ異なりいい味を出しかけているのにうやむやになっている感が否めない。

だから感動すべき場面でイマイチ入り込めなかった印象。せっかくギャップをつけているのになぁ。






















職業観が出ている映画でもあった。

一止がなんのためにカメラで写真を撮るのかと榛名に尋ねるシーンは、今作を象徴するシーンでもあると思う。

まず、「一瞬でも他人を喜ばせたいから」という二人の職業観に共通する青臭い意志にはひどく自分でも共感できた気がする。それは自分が就職活動で一番にそのことを念頭においていたからなんだけれども。





このシーンで2人は互いをみておらず、榛名はカメラの掃除をして、一止は天井を見上げている。普通映画では互いが互いをみて真剣に語るような場面だが、2人はそうはしない。

ここに2人の信頼関係がみてとれるし、重要な事を話すシーンなんだけれど自然に時が流れていく感覚がある。











医師として、何が最も大切かを考え続ける一止。

現場か研究か。この状況だとどうかんがえても研究じゃないのかと思ってしまったが、あくまでこれはファンタジー性を帯びた医療モノ。”主人公的”決断は物語の展開としてしょうがないと思う。


ブラックジャックによろしく」のような終わり方のほうが説得性があるとは思うのだが。あんまりこの映画のラストはそこまで説得性がなかったかなーと。

別にそれがラストじゃなくても良いかもと思ったり。

















まあ櫻井翔の演技は…慣れれば大丈夫?周りの役者が素晴らしいのでそちらに注目すればOK(?)

そして櫻井翔の髪型は…いや触れないでおきましょう。


最終的には宮崎あおいに癒されたからいーや。







予告編はコチラから↓
http://www.youtube.com/watch?v=zTVHxJKyNxw