リアル・スティール

近未来の2020年、ボクシングは人間が戦うものからロボットによるものへと変化していた。
元ボクサーのチャーリー(ヒュー・ジャックマン)は、ロボットの賭け試合で生計をたてていたが、鳴かず飛ばずの結果に終始していた。そんな時に元恋人が亡くなったとの知らせを受け、ひょんなことから一時息子のマックス(ダコタ・ゴヨ)を預かることになった。
ある日、部品を探すために忍び込んだ廃棄場でマックスは廃棄された旧世代ロボットATOMを発見する。持ち帰ったマックスは自ら「ATOMを戦わせる」と志願し、ATOMをチューンナップするのだった…

観賞日

2011年12月9日







【80点】








ボクシング×父子の絆。
この映画はこの2つが核に据えられる。










しかもボクシングをするのはロボットだ。
このロボットのデザインがまたレトロな感じでたまらない。オイル臭そうで、どこかぎこちなさもあり、決してスマートとは言えないようなデザインは「格闘技」という汗臭い・泥臭いテーマにしっかり合っている。

なんでもありのルールが適応される、アンダーグラウンドな戦いでは相手の足を踏んで動きを抑えたりとなんだかロボットらしからぬ人間的な戦法があるのも面白いところ。
最強の敵との決戦はまさにボクシング映画の王道を見ているかのようなバトルシーンで、ロボットだからやりすぎてしまうのではないかと心配していた私の心配が杞憂だったと思い知らされた。まーカッコいいこと。













ロボットの格闘技、父子の絆。そう、男(男の子)なら誰でも興奮できる、アツい王道テーマがこの映画なわけだ。
そういうわけでとにかく興奮できる映画に仕上がっている。



多少の突っ込みどころがあっても手に汗握る内容のためには、スルーしてあげるのが吉だ。
もっとATOMについて掘り下げてほしかったところだが、尺は2時間をオーバーしているので難しいか。
(ファミリーで楽しめる映画に仕上げたかっただろうからあまり長尺にするのは好まれないだろうし)


その突っ込みどころがあったところでこの映画のアツさが冷めてしまうわけではない。

アメリカンジョークが沢山盛り込まれているのもこういう映画”らしい”ところか。




















主人公チャーリーを演じたヒュー・ジャックマンは、元チャンプのシュガー・レイ・レナードをボクシングコーチに迎えて、説得力のあるセコンドやボクサーを演じた。



だが、私が特筆すべきだと思ったのは、息子役マックスのダコタ・ゴヨ。
父チャーリー譲りの性格を持つマックスをしっかりスクリーン上に表現していた。

ダンスやマイクパフォーマンスはまさに圧巻。
年齢離れした落ち着きはまさに天才子役の”それ”だ。



王道中の王道の展開だが、設定や役者がそれを感じさせない。ロボットですらも親子2人の絆のための舞台装置のようなものかもしれない。




この2人が親子を演じることで間違いない説得力が生まれ、涙が出るわけではないけれどこちらの心を動かしてくれる。
父子で同じ話題で盛り上がる感じの懐かしさがこの映画に凝縮されているわけだ。

かくいう私もスターウォーズバイオハザードでともに熱狂したころを思い出して、心がほっこりした1人だ。



















日本へのリスペクト(?)を忘れていない映画でもある。

やたらと日本の名前が出てくるのだ。
チャーリーが2つ目に持つロボット「ノイジーボーイ」には体に「超悪男子」のペイントがされているし、
最強ロボット「ゼウス」の開発者は日本人ときている。

マックスが日本のゲームは最高だよとかいっちゃうシーンもある…
もしかしたら、(というかたぶん)今回の主役のロボットATOMはあのアトムからきているのかもしれない。


そもそも娯楽用に戦うロボットってきわめてマンガ的発想だ。
ロボットがアメリカを救って、アメリカ軍万歳みたいな映画にも出来た筈だろうに。


ロボット=日本、というイメージへのリスペクトが現れた結果なのかもしれない。
こうなると、2020年にこの映画のようにロボット=日本であり続けてあってほしいなと思ってしまう。










冬休みに観るにふさわしいアツい映画。ポップコーン片手に友達とがっつり楽しめる保障が出来る映画だ。




予告編はこちら↓
http://www.youtube.com/watch?v=xTO6dJIbDqk