2013年09月09日のツイート

"牢獄、そして心の檻へ"『サイド・エフェクト』(ネタバレあり)


 ソダーバーグ、これにて引退?


 インサイダー取引で逮捕され、職も人脈も失った夫マーティンの出所を迎えたエミリー・テイラー。だが、夫の四年間の服役生活の間に患っていた鬱が再発し、自動車で自殺未遂を起こす。診察に当たった精神科医のジョナサンは、彼女の精神状態を察し、自らのカウンセリングを受ける事を勧め、薬を投与する。思うように治療の効果が上がらない中、ジョナサンはエミリーの前の主治医シーバート博士に接触するのだが……。


 ついこないだ『マジック・マイク』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130821/1377052729)を見たところですが、またもソダーバーグとチャニング・テイタムのコンビ。チャニング・テイタムって、若くして結婚して苦労したり失敗したりする役が多いよなあ。金や学歴はないけど熱意は人一倍というキャラが多く、それは単に役柄であるはずなのに、ストリッパー上がりの過去を揶揄されているようで、時々気の毒にもなる。
 今回はインサイダー取引がばれて刑務所にぶち込まれている役でした。華やかな生活が逮捕でぶち壊されて、愛妻ルーニー・マーラはその間に鬱病になってしまい……。
 しかし、『ホワイトハウス・ダウン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130828/1377700769)や『君への誓い』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120603/1338698187)では、失敗や挫折もあるけど、それを糧に頑張っていくぜ!というキャラだったのに対し、今作では、まったくこりずに同じことを繰り返そうとするキャラクターであったのだな……。
 せっかく治ってきていたルーニー・マーラ嫁は、その不安からか再び鬱を再発。今作は、その鬱病の治療を受ける妻と、新たな主治医になったジュード・ロウのお話。


 冒頭から、いかにも軽々しく薬を飲みまくるアメリカ人の現状が語られ、脇のキャラがみんな何種類も薬を飲んだ経験を持っていることが明らかになる。当然、主治医ジュード・ロウも自分の妻にまで薬をこっそり処方していたりして、実にカジュアルに薬の名称も語られる。
 そんな中で、通院歴があって、いくつかの薬をすでに試した過去を持つルーニー・マーラには最初に処方した薬が効かず、冒頭から自殺未遂をやらかしているためにやや判断を急ぐことに。以前の主治医キャサリン・ゼータ・ジョーンズに助言を仰ぎ、「アブリクス」という薬を処方することになる。が、これが悲劇の始まり。その副作用を見過ごしにしたことが思わぬ結果をもたらし、薬物社会の暗部を明らかにしていく。


……というのが、表向きの話なんですがね!




<ここからネタバレ>

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