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『創造と環境』 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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クリエイティブな仕事をしている某組織に入った瞬間から、そのクリエイターは「歩」から「成り金」となって才能を輝かせるが、高給に魅かれてその組織を出た瞬間から「歩」に逆戻りしてしまうのはなぜか…を40年前から何度もニューヨークへ出向き、その組織躰の当事者たちにインタビューしまとめて1969年に上梓したのが表題の著書です。

「クリエイティビティについて、その環境について、語りあいましょう。」

2009-03-28

(425)ヘルムート・クローン氏のスピーチ(1)


【用法】 クリエイターとしてのベテランは1錠---すみずみまでの効き目を感知できる人だから。トレイニーは3錠(3日分)---奥の奥までの効用を察するにはまだまだだから、多くを体験する必要がある。


秀でたクリエイターでTV-CM研究家でもある畏友・金子秀之さんに進呈していたフィルム---1960年代のVWビートルが、CDに焼かれて帰ってきました。美しいみやげをつれて。オリジナル・アイデアとリメイク---名作の劇映画のそれの再現みたいです。土曜日の特別プレゼント




f:id:chuukyuu:20070824091739j:image:leftヘルムート・クローン氏のスピーチ(1)

DDB 副社長兼アソシエイト・チーフ・アートディレクター

当時/写真左


新しい広告表現(1)

1963年のニューヨーク・アートディレクターズ・クラブで


f:id:chuukyuu:20070201174748j:image:right:w100この話を始めるにあたって、まず、コピーライターのボブ・レブンソン(写真)と私が広告というものを、どのように考えているかということを、お話するほうがいいと思います。

それは単に生活であるというだけではありません。

芸術家気どりの職人が、週末に何かをやるということでもありません。

私は日曜画家ではありませんし、彼は『サタデ一・レビュー』に作品を売ろうとしているのでもありません。

私たちは、骨の髄まで広告人です。

広告は私たちの好きなことであり、広告は私たちが週末を苦しんですごすものなのです。

私たちは、広告ならどんなものでも好きです。

広告はこの会議で議論される他の問題とも関係があるかもしれませんが、たとえそうにしてもそれは非常に遠いことです。

じじつ,私たちはここで、いささか場違いの感じがしているのです。

「デザイン'63」という名前だけでも私たちを全く異邦人のような感じにさせてしまうに十分です。

よい広告の中には確かにデザインが存在します。しかし、それにスポットライトを当てると、広告のエッセンスを完全に理解しそこなうことがあります。


広告で大切なもの、私たちの想像力をとりこにするものは、アイデアです。

読者にそのポケットの中のお金を使わせるようにし向けるセリング・プロポジション(販売命題)です。

これこそ私たちを魅了するものなのです。

じじつ、私たちはフォルクスワーゲンステーションワゴンと同じぐらいの途方もない製品のウェイディング・リストをもっているので、私がなにかグラフィック・デザインをやるチャンスや、レブンソンがなにか優雅な文章を書くということは不可能なのです。

これらのものは単なる手段にすぎません。

私はむしろ、シドニー・ジェニスのワンマン・ショーよりは、すばらしい広告キャンペーンをやってみたいのです。

もし私がアートディレクションだけをやっていればいいということにもなれば、私は広告は非常に退屈な仕事であると思うでしょう。

DDBでは、アートとコピー部門が別々の階に分かれてはいません。

そういう所では、まず、コピーが書かれ、承認され、つぎにメッセンジャーが下の階に運び、書類の山のいちばん下に置かれ、アートディレクターは上のほうから紙をとり上げてってまず絵を置き、それからコピーをアレンジするのです。

私たちは、始めからいっしょにすわっているので、私が見出しを作り、コピーライターが絵を作っても、だれも驚きはしません。

私たちがけっしてしないことは、ある新しいアカウントがはいってきて20人ものが同じ問題にとっかかっているときに鐘を鳴らすことです。

それは人間の成長を妨げると私たちは考えています。

私たちは自分自分に責任をもたなければなりません。

私たちは、広告の担い手であるという誇りをもたねばなりません。

あなたたちは、ほかならぬ自分たち2人がそれに勝ったのだということを感じながら家へ帰らねばなりません。

それが人間を成長させるのです。


続く>>


1960年、カタログ類の担当だったコピーライターのレブンソン氏が、マス・メディア担当に引き上げられて、クローン氏と初めて組んでつくった雑誌広告。


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明らかに、フォルクスワーゲンです。


フォルクスワーゲンだとの目星は、すぐつきます。

たとえ、そのかぶと虫スタイルが雪ですっぽり隠れていても。

動きつづけているのが、フォルクスワーゲンなんですよ。

フォルクスワーゲンは、リア・エンジンなので、ほかの車が行きえない氷の丘でも登りきります。フロント・エンジンのものよりも、後車輪にぐっと力がはいるからなんです。

でも、それだけでは問題の半分しか解決しません。

エンジンは後部にあるだけでは十分とはいえません。作動しなければ無意味です。

そこで、私たちはVWに水冷式ではなくて、空冷式エンジンを採用しているのです。不凍液も不要ですし、ラジエータがヒビ割れすることもありません(夏に沸騰する心配もありません)。

冷却水をぬく手間も不要なら、洗浄や錆止めも不要です。

VWは零下の戸外にも駐車でき、雪だまりから這い出ることもできます。実際、あなたがエンジン・キイをまわした瞬間、動きはじめるのです。

もし、あなたが氷や雪の問題など無関係な土地で生活していらっしゃるとしても、VWの尋常でない能力の判定ができる機会はふんだんにあります。

砂地やぬかるみでお試しの程を。




A Volkswagen, obviously.

 

It's easy to spot a Volkswagen.

Even with enough snow on it to hide the beetle shape.

It's the one that keeps moving.

A Volkswagen will even go up icy hills when other cars won't go at all because we put the engine in the back. It gives the rear wheels much better traction.

That's half the problem.

But the engine can't just be there. It has to keep working.

So we cool the VW engine with air, not water. There's no need for anti-freeze, no chance of the block cracking. (No possi. bility of boiling over in summer, either.) And there's no draining. No flushing. No rust.

You can park a VW outdoors in sub-zero weather or dig it out of a snowbank; it's ready to roll as soon as you turn the key.

If you happen to live where ice and snow are no problem, don't think you can't judge the VW's extraordinary abilities.

Just try it in sand or mud.


1964年にNY.ADCとカンヌで金賞を得たTV−CM(モノクロ 60秒)


D

高詳細の映像もアップしました。「HQ」ボタンをクリックするときれいな映像で見られます。(09.4.1)

映像と音声にズレがありましたが、調整しました。(09.3.31)


(アナ)除雪車を運転する人は、雪の中をどうやって除雪車の置場まで

たどりつくのが驚異に満ちた気持ちで考えたことはありませんか?


この人はフォルクスワーゲンを運転しています。


もう驚異ではなくなったでしょう?




10数年後にドイツ語圏のDDBがリメイクしたもの(60秒)


D



1967年1月19日の日付のある『ポスト』誌から切り採ったと、メモ書きしてあります。米国では多くの雑誌が全国媒体です。北の州---メイン州、ハンプシャー州、オハイオ州モンタナ州の人たちの目を引きつけたことでしょう。いや、ワイオミング州やアイオワ州の人も---。


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VWのテスト・ドライブに最適の日を選んで、道路へ出てください。


道路はあなた一人の天下になるでしょう。

気候がよい日には、新車のテスト・ドライブの誘いがたくさん舞いこ込んだでしょう。

でも、気候が悪くなってくると(こういう時こそ本当のテスト・ドライブといえるのに)、招待状はぐっと減ってしまいます。

今こそ新しいフォルクスワーゲンを試してみるために少々時間をください。

今すぐとはいえません。なるべくお天気の悪い日まで待ってください。この次雪が降っているか、雪どけの時か、そんな時VWのディーラーまで車でお越しください(お持ちの車でお越しになれたら)。

喜んで外へかお連れして、他の車ではほとんどどうしようもない時ですらVWがどんなにすばらしく活躍するかをお見せしましょう。

エンジンが後輪の上にあるため雪の上でも、ぬかるみの中でも、氷の上でもVWが掘り進んで行く様子も。

すばらしいお天気の日にテスト・ドライブをすませた車が立ち往生しているそばを通りすぎる時、VWが寒い日にほかにどんな利点を持っているかを彼に話してやりましょう。

空冷エンジンは凍結したりしないので、不凍液も冬期用サーモスタットも必要ありません。

それに、寒い雨の夜この車を外に出したままにしておかなければならない場合でも、四重塗装がしてあるし、保温用に底が密封してあるので安心です。

そして最悪の事態が起こって立ち往生してしまっても、フォルクスワーゲンには利点があります。

VW以上に押すのにラクな車がありましょうか?




Pick the right day to test drive a VW and you'll have the road to yourself.


Back when the weather was good, everybody was inviting you to come in and, test drive their new whatevers.

But now that the weather isn't so good(and a test drive is really a test), the invitations have dropped off sharply.

Now maybe you can spare a little time to tryout the new Volkswagen.

Not right this minute. Wait for a nice lousy day. The next time it's snowing or slushing or something like that, drive down to your VW dealer. (If you can make it in your car.)

He'll be happy to take you out and show you how a Volkswagen works when hardly anything else does.

How the weight of the motor on the rear wheels makes the VW dig in and go, in the snow or the mud, or even on ice.

As you pass all the stranded cars that passed their test drives in balmier days, he'll tell you about the VW's other coldweather comforts.

The air-cooled motor. It doesn't freeze over, so it doesn't need anti-freeze or a winter thermostat.

And if you have to leave the car out on a cold wet night, it's got four coats of paint and a sealed bottom to keep it cozy.

You've even got an edge with a Volkswagen if the worst happens and you get stuck.

What could be easier to push?



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やっとフォルクスワーゲンのすてきな写真が撮れました。


フォルクスワーゲンがすてきに見え始めるのは、ほかのすべてのものがダメに見え始める時です。

たとえば夜遅く、なかなか寝つけないでいて、外がマイナス23°Cで車に不凍液を入れ忘れたとわかった時など。

(フォルクスワーゲンは不凍液を必要としません。エンジンは空冷式になっているのです)。

たとえば朝早く、車を出そうとしたら、燃料計が E をさしている時。

(4リッター残っているだけでもVWなら約50kmは走れます)。

たとえば、ドライブウェーからはずれた道で、ご近所の車が雪と悪戦苦闘している時。

(エンジンが後ろにあるのでVWは雪の上でも楽に走ります。つまり、より強い牽引力が後輪に働くのです)。

たとえば、街に乗り入れ、駐車スペースが、除雪車と大きくて厚い壁との間に半分しかない

い時。

(VWは、駐車スペースが半分しかなくて

も入れるほど小型です)。

たとえば、けさの9時15分、オフィスにきているのがあなたのほかにボスしかいない時。

(これ以上にイカシて見えることがほかにありましょうか?)




We finally came up with a beautiful picture ofa Volkswagen.


A Volkswagen starts looking good when everything else starts looking bad.

let's say it's late at night and you can't sleep. It's 10 below and you forgot to put antifreeze in your car.

(A Volkswagen doesn't use antifreeze. Its engine is cooled by air.)

Let's say it's now morning: You start your car and the gas gauge reads Empty.

(Even with a gallon left, you should go approximately 27 miles in a VW.)

Let's say you notice on your way out of the driveway that every other car on your block is stuck in the snow.

(A VW goes very well in snow becausethe engine is in the back. It gives the rear wheels much better traction.)

Let's say you make it into town and the only parking space is half a space between a snow plow and a big fat wall.

(A VW is small enough to fit into half a parking space.)

Let's say it's now 9:15 a.m. and the only other guy in the office is your boss.

(Now what could be more beautiful than that?)



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地球の果てでの最初の車。


オーストラリア探険隊は、えり好みなんかしませんでした。

ただ「どの隊員も、ヒョイと飛び乗り、一瞬の躊躇もしないで走りだすことのできる」車がほしかったのです。

そして、フォルクスワーゲンがその条件にぴったり合っていたというわけです。

お手柄は空冷式エンジンでした。ラジエターも不用、そんなもの無しで動くのです。

(南極第1号車は、零下50度で、何日もの放置されていたのに、身震いすらしないで動き出しました)。

リア・エンジンなので、VWの牽引力はすばらしく、斜面をずんずん登り降りすることができました (でも、ほんのちょっとした仕掛けはしました。時にチェ一ンを巻いたのです)。

犬も行けないようなところにフォルクスワーゲンが行き得たもう一つのわけは、密閉された腹部のおかげです。

おそろしく音はします。しかし、それがそこにある理由です。つまり、内側の機構を外気から守るのです。

あんまりらくらくとうまく行くので、こういった隊員がありました。

「地球が全部凍ってもVWがどんな具合でいられるか、わかったよ」

そうならなくっても、どの車を買えはいいか、もう、おわかりですね。


『ルック』誌 1965.1.16号




The first car at the bottom of the world.


The Australian National Research Expedition really had no choice. without a moment's hesitation."

And the Volkswagen just happens to fill the bill.

The big trick is the VW's air-cooled rear engine. It has no radiator. It uses no water or antifreeze. It just goes.

(Antarctica #1 stood for days at 50°below zero and started without a tremble.)

The rear engine gave the VW so much1 extra traction it climbed "straight up and down the slopes." (But they cheated a little; sometimes they used chains.)

Another reason the Volkswagen went where even the dogs wouldn't go is its sealed bottom.

It took an awful beating, but that's what it's there for: To protect the works inside against the weather outside.

Things got so fierce that one man said "Now we know what it'll be like when Hell freezes over."

So if it ever does, you know what car to buy.


Look, January 16, 1965


続く>>


参照

f:id:chuukyuu:20070201174748j:image:right:w80f:id:chuukyuu:20070219134208j:image:right:h100ロバート・レブンソン氏とのインタビュー

(123追補)


f:id:chuukyuu:20081212031236j:image:left:w120VWビートルの広告キャンペーン全体については---

西尾忠久編著『クルマの広告』(ロング新書 2008.12.10

新書版 215ページ 950円(税とも)

Amazonでも購入できます。

asin:4845408139

numapynumapy 2009/03/28 09:21 「明らかにフォルクスワーゲンです」の広告。
自信に満ちた広告ですね。この自信の素は何なんでしょうか?
ビートルのフォルムは認識されている、という自信なのか、
それともこれまで展開してきた広告でイメージは出来上がっている、
という自信なのか。
それにしても、ユーモアに富んでますね。
思わず「ウフフッ」と笑いたくなる広告です。

atsushiatsushi 2009/03/28 09:55 どういうわけか、モノクロバージョンのCMが後半間延びして、映像と音声がズレてしまいます。(大事な部分なのに・・・)
原因はわからないのですが、調べてみます。

chuukyuuchuukyuu 2009/03/28 15:56 どちらのCMも、VWビートが家を出てから雪原の中で、柱が2本立っている脇を走りますね。
これって、雪で道がみえないって想定で、ここが道だよって標識なんでしょうね。
米国でも、ドイツでも、電柱は地下なんでしょうか。あるいは、モノクロもカラーも米国の同じ場所で撮影して、声だけ葺き替えたか?

chuukyuuchuukyuu 2009/03/29 10:17 >numapy さん★★★
>khalki さん★
>inst3284 さん★
>fuku33 さん★★
>cnot さん★★★★★
>ojori さん★★★
>nico310 さん★
>rara33 さん★★★
>hiroysato さん★
繰り返し、繰り返して読んでいる本の1冊が『孫子』(講談社学術文庫)です。齢とともに深読みできるようになってきました。
『孫子』以上に繰り返し、真読みしているのか、バーンバツクさんのスピーチとVWビートルとエイビスの広告です。いったい、なんど読み返したことか。
このような広告をつくれる日がくることを願いながら、そういうことを考えないクライアントのために日時をついやした気がしています。
せめて、このブログだけは、好きにやっていきます。世のため、人のためとおもいつつ。
★への答礼もかねて。

chuukyuuchuukyuu 2009/03/29 10:26 >numapy さん
反語ではないでしょうか。
キャンペーンが始まって1年たらずのうちに掲載されたような記憶があります。DDBから送られてきたスタッフ・リストでは、レブンソン氏が初めてクローン氏と組んだ作品です。ケーニックがDDBを去ったすぐあとは、デイブ・ライダー氏がコピーを担当しています。
この「明らかに---」には、どことなくユーモラスな感じが匂いますね。レブンソン氏のコピーの体質みたい---。
で、反語と措定したのは、少数派だけど、独特なこの形状だから、だれの目にも明らか---と言っているような---。

chuukyuuchuukyuu 2009/03/29 10:29 >atsushi さん
あまりにも古いフィルムで、しかも教室で35年以上、そのほかの場でも50回以上映写したものをCDに落としているので、フィルム自体が疲労していたことも考えられます。

atsushiatsushi 2009/03/29 11:50 いえ、元の映像は正しく映像と音声が合っていましたので、
フィルム自体の問題ではありません。
YouTubeにアップロードしたときの問題です。
一度やり直したのですが、結果は同じでした。
今までこんなことはなかったのですが・・・。

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