映画評「ALL NIGHT LONG」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ [製作]マック・セネット・コメディーズ [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ハリー・エドワーズ [製作]マック・セネット [脚本]フランク・キャプラ、ハル・コンクリン、アーサー・リプリー、ヴァーノン・スミス [撮影]リー・デイヴィス、ウィリアム・ウィリアムス [編集]ウィリアム・ホーンベック

[出演]ハリー・ラングドン、ナタリー・キングストン、ファニー・ケリー、ヴァーノン・デント

 映画館で眠ってしまったハリーが起きると、周りには誰もいない。帰ろうとするが、そこには強盗が。だが、強盗のボスとハリーは第一次大戦で共にフランスに出征した仲であることが分かり、思い出話が始まる。

 1つ1つのギャグに新しいところはない。だが、いきなり誰もいない映画館で1人寝ているハリーの姿から始まったり、わざわざ第一次大戦時のフランスと現代の映画館を行ったり来たりする構成を取っていたりと、ちょっと捻った作品となっている。最も奇妙なシーンは、斜め後ろ姿のナネットと、美しいナネットに魅力にとりつかれたハリーのショットだろう。ハリーにのみピントを合わせ、カメラがジーっとハリーを見つめるショットは、まるでハリーが二枚目スターのように映っている。撮影演出上の、かなり高度なギャグである。

 爆破に巻き込まれて乳母車に乗るハリーが、兵士の行進に出会い立ち上がって敬礼をしようとする。そこで、足を片方釣っているというギャグがある(足は釣る必要はない)。ここで多くの日本人は、思うだろう。そう、ハリーが「おそ松くん」に出てくるイヤミの「シェー」をしている!と。

【関連記事】
ハリー・ラングドン セネットが見つけた最後の大喜劇俳優