2月3日(火) ワイド!スクランブル 虐待から逃れ子供時代から長年洞窟に隠れ住む

加村一馬さん、62歳。 親兄弟からの壮絶な虐待の被害者で、4、5年前、13歳の時分からずっと一人で洞窟に隠れ住んでいたのが発見された。 その人が再び取材されている映像を、昼食の時途中からではあったが目にした。 余りの過酷な経験から、そのような体験を完全に理解すべくもない心温かい救援者ともなじめず、と言うべきか、またどこかへ姿を消してしまった、というのが前回取材された時のてん末だったと記憶している。
その加村さんが、放浪の果てに今は良い職場や同僚に巡り合い、きれいなログハウスのような住居も手にして、幸せに暮らしているらしい。 こんな優しい人が世の中にいるのかと思ったというような人にこの放浪で出会えた事も、今は普通に受け入れられている様子だ。 元気そうで本当によかった。
世の中には優しい良い人もいる、そんな事が驚きになるほど加村さんは家族中からいじめの標的にされて、かばってくれる兄弟一人もなく、耐え切れず13歳の時家出をして洞窟に移り住んだのだ。 時間がたっているので細かい話は覚えていないが、木に縛り付けてみんなで殴る蹴るの暴力をふるったり、一人だけのけ者にして食事を与えないようにしたり、親兄弟一人残らずいじめはやめよう、という潔癖さのかけらも持たない人間揃いだったらしい。 8人も兄弟がいれば、1人くらい少しはかばい立てするようなタイプも居そうなものだが、それも居なかった。
学校でのいじめで、一人だけを標的に選びいじめ倒そうとするのと同じで、肉親がいじめをするはずがない、とか、家庭内でいじめをするのは何か特別な事情がある時だけで、本来あり得ない事だ、などというのが単なる思い込みだという事の表れである。 肉親だろうと他人だろうと、いじめをする人はするし、しない人はしないのである。
加村さんが家出した時、愛犬のシロが、つないだ紐を食いちぎって追ってきたそうだ。 きっと加村さんに他の家族とは違うまともな魂が宿っているのが、動物の持つ察知能力でわかっていたのだ。 そして、熱を出して倒れている加村さんに、洞窟の奥の水でぬらしたシャツをくわえて来て助けようとしたり、親代わりをしてくれたそうだ。 加村さんが前に発熱した時、下の川へ降りて行ってシャツを濡らして当てて熱を下げようとしたのを見て覚えたらしい。
その加村さんの実話が 「ぼくを救ってくれたシロ」(ハート出版)という本になったそうだ。 作者はご本人とは違う人のようだがぜひ読んでみたい。 いい具合に映像化されたりして児童虐待の問題に光が当てられる事につながったりするとまたいいのだが。