『コーヒーの科学』紹介(2)

#2章の説明

世の中に出回っているコーヒー本には、まず「コーヒーノキはアカネ科の常緑樹で…」というところから話をはじめているものが結構あります。というわけで、この本もそこから話をはじめて……で、折角なので、植物の分類学、形態学、生態学……とそのまま植物学の内容で、丸々1章分にしてみました。


「別にそんなこと知らなくても、コーヒーを煎ったり淹れたりするのには関係ない」と思うコーヒー屋さんも、中にはいるかもしれません。まぁ実際、それは否定はできません。

しかし例えば、アメリスペシャルティコーヒー協会(SCAA)は数年前から、ことあるごとに、こうした植物学的な内容を含めた、科学者による講演/講義を、会員向けに実施しており、それなりに「科学教育」に力が入れられている領域であることも事実なのです。ところが、日本では今のところそういう機会は非常に少なく……あっても英語講演だったりするので、日本語で読める情報源が一つくらいあった方がいいだろう、というのも、これを1つの章にした理由です。


見た目には、わりとよくある観葉植物のような「コーヒーノキ」。でも、ちょっと掘り下げると、いろいろ変わった特徴、変わった性質が見つかります。栽培の段階で出てくるいろいろなキーワード……例えば、高い樹木と混植するシェード栽培や、表年と裏年のある隔年性など……を、こうした植物学的な性質から読み解くことが可能です。


じつは植物学的な内容のうち、分類や起源などについては、じつは百珈苑の本体の方でも「コーヒー前史」として紹介していました。
https://sites.google.com/site/coffeetambe/coffeescience/botany/origin
ただし最近の遺伝子研究の進展は早く、そこに書いている内容も古くなってしまってます。そのうち書き直さないと……と思ってはいるのですが、とりあえず先に、今回の本で「現在最新の考え方」を紹介することにしました。