なんか、「裏方」ってかっこいいよね。

発端はこの記事。

http://arena.nikkeibp.co.jp/col/20051110/114194/

「裏世界」という言い方には確かにネガティブな印象が含まれているし、これを読んだはてブユーザーに良い印象を与えるとはとても言えません。そういう意味で、この記事を書いた記者は配慮が足りなかったと言わざるを得ない。


でも単に「裏」という言葉はそんなにネガティブなものなんだろうか。
そしてはてなブックマークを裏側と呼ぶことはそんなに見当はずれなことだろうか。そんなことを考えました。


ああ、はっきり言って、最初に挙げた記事とこの記事はほとんど関係ありません。思考の起点になったという意味でリンクはしておきます。


「裏」という言葉にはネガティブでない使い方もたくさんあります。

たとえば硬貨。硬貨には裏と表があります。「100」とか「50」*1とか額面の記されたほうが裏、そうでない文様や図柄の描かれたほうが表です。
はっきり言ってこれはどっちが裏だろうと関係ない。決めておいたほうが楽だからですね。んで、どっちかを表と呼んだら、もう片方は裏と呼ぶしかない。裏は表面と反対の面なんだから。
ここで、表と裏は対等で対称の関係です。どっちがどっちよりも優越してるなんてことはありません。本来の表と裏の関係ってのはそういうもんだと思います。

また、「裏方」という言葉もあります。
芝居とかで、表舞台に立つ人に対して、道具、衣装など、色々目立たない仕事をする人を指す言葉ですね。
これも、「表」を支える役目を持つ必要不可欠な「裏」です。表は裏が無ければ成り立たず、裏は表を目立たせるために仕事をする。ここでも対等な関係です。

そして「裏打ちされた」とか「裏付け」という言い方があります。
「表」を確かなものにするために、表に見えるよりも大量の「裏」が求められます。ここではむしろ裏はあったほうが良いとされます。


さて、ひるがえって「はてなブックマーク」について。
先に言っちゃいますと、はてブは「裏側」とすら呼んではいけないのではないか、という嫌な結論に達してしまいました。反論希望。

よく、2ちゃんねるも「裏世界」的にたとえられることがありますが、2chはてブでは決定的に違う点がひとつあります。

それは「はてブはそれ以外のwebサイトが無ければ存在できない」という点。
はてブはてブ以外のサイトに完全に依存しているのです。
これは、現状はてなブックマークというシステムが、他のエントリーを評価するためだけにある事によります。うあ、きもちわる。



上のほうで挙げた「裏」の用例では、裏と表は互いに補完しあう対等で欠かせないものとなっていますが、そういう観点で見ると、はてブは「裏側」ですらありません。
はてブで行われている行為は、「おこがましくも他人様の作ったエントリーに対して、『タグ』という名のレッテルを遠慮なく貼り付け、『コメント』という名の50文字足らずの捨て台詞を吐いている」と表現することも出来ます。しかも頼まれたわけでもないのに。このことは頭の片隅に置いといたほうがいい。本気でそう思う。


とここまで書いてきてなんですけど、僕ははてブがネットの「裏側」でもいいと思ってます。だって表がなきゃ存在できないのに、必死で表だよってアピールするより、「表」つまりはてブ以外のインターネットを面白くする裏方的存在のほうがなんかかっこいいですよね。
いつの日か「このエントリーの価値は、はてなブックマークによって裏打ちされている」なーんて偉い人が言っちゃうようになると面白いと思う。理想論ですけど。
そのためには最近少し話題になってた、検索精度・検索機能の強化とか、過去にタグ付けされた膨大なエントリーの有効活用が必要なんでしょうね。

*1:最初「五円」と書いてあるほうが裏と書いていたけど、五円硬貨だけは額面のあるほうが表らしいです