哲学さんの序章感想

 出遅れまくったけど感想書きマース。
 序章について
 上手い。素直にそう言い切れるほど上手い。「面白さ」と設定の開示がバランス良く釣り合っていて快感。子供の一人称なのに地の文が難しいってのは「夢だから」という解答への伏線(というか遊び)として面白いです。けどもうちょっと徹底していいかも。あともうすこし現実描写が欲しい。
 んで、その続きなんですが、オープニング後半辺りからバランスが崩れる。面白さに対して設定の開示が多すぎる。師匠説明しすぎ。楽ダメ。いのりが出てくるシーンでの世界観の説明はまだいらない。シーンは最小公約数で構成して、プラスアルファを乗せるならそれなりの面白さを上乗せしなければならない。世界観の説明には別にシーンを作った方がきれい。
 一章について
 んー、面白さはあるんですが(シカルがいきなりボスに会いに行ったり)いかんせんやっぱりバランスが悪い。設定の開示中心で面白く場面が転がっていない。たとえば一章出だしの入国シーン、このシーンはとくに面白い要素がないのに「世界観の説明」「シカルの特殊技能の説明」などの重たい情報が開示されていて読まされている感が強い。話の筋を追っているだけで小説の展開になっていない。こういうの作者が楽をしているなと思う。たとえばマルドゥックスクランブルでは「世界観の説明」と「話の方向性」を提示する解答として主人公を鮮やかに殺してみせた。封仙娘娘追放録では、客を捕まえる、そのために作られたと言わんばかりの心躍る龍退治をえがいた。ああいうのがいい。面白さと情報のバランスが大事、序盤だけはちょっと面白さ側に傾いているぐらいがいい。
 あと「無我」という言葉が作中と俺の中でなんか違う。少なくとも「>時間に縛られた人生と比べれば何千倍もマシだろう。」なんて他人と比べるような人格が無我?と思う。他にもなんかやたらとえらそうでもにょる。行動原理にしても強い奴に喧嘩売ってそれがなんで修行になるのか意味分からんし、共感できない。
 シカルの目的が不明過ぎて話の方向性が分かりません。無我を極めるってなんぞ?と思う。極めてどうすんだ?とも思う。
 対していのりの目的には共感がもてる。悪く言えば分かりやすい目的ですが話を転がす上で便利だし、上手い理由があれば面白くできる。
 他
 文章は手こずっているみたいですがこれはもう地味にがんばってくださいとしかいえない。序章は本当にうまくいっていますのでその辺参考に。
 バランスが一番大事、「面白さ」と「情報」の。
 追伸、誤字脱字、気になる表現をメモっといたやつがどっかにいって出てこない。けど何カ所かあったのでご注意ください。(ごめん、丸投げ)あと富士見のサイトでネクストの二次結果でてましたよー、と。ご確認下さい。