川合典子 ブログ

英語教育、英語学習、発音習得、帰国子女の言語習得について書いています。

耳は人間の体の中で唯一、音をとらえれる器官です。(2)

11月19日の続きです。

発音練習に耳を使うのは重要だと述べましたが、ただ聞いて真似をしていれば、正しい発音が習得できるというものではありません。 どんな発音練習でも、必ず、その発音のどこが正しくて、どこが違っているかを自分で自覚しないと、いつまでたっても、なおりません。

私は11月2日のブログで、次のように書きました。

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音を比べることは耳の仕事のように見えますが、皆さんが音を比べて「英語のRの音が日本語の子音より長い」と分かったとき、「英語と日本語の子音の違いを認識した」ことになります。 そして、皆さんもご存知のとおり、「認識する」というのは、もはや耳の領域ではなく、脳の意識活動の領域に入ることです。 Rの長さの違いを認識した脳は、今度は皆さんが発音するとき、語頭のRを長く発音するよう、口に指令を出します。だからこそ発音が正しくなっていくのです。 
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言いっぱなしの発音練習、真似をするだけの発音練習では発音は良くなりません。 フィードバック(結果に含まれる情報を原因に反映させ調節を図ること)のない練習はいくらやっても発音を正しくすることはできません。

スポーツの試合でも、終われば必ず、試合を振り返って反省や分析をします。ピアノの練習でも、自分の弾く音が自分の目指す音色で出ているかどうか、耳で確かめながら練習しています。 フィードバックは技術の向上を目指す場合、どの分野でも行われています。

発音練習の場合も例外ではありません。例えば、お手本を真似していて「Sの発音は強い」と思ったとします。 自分の発音と比べてどこが違うか認識する練習を行っている人は、今度はSを強く発音して比べる練習を続けていきます。やがて、まだそれでも同じように聞こえないことに気づいていきます。違うのは強さだけではなく、「音が持続していること、つまり強くすると言っても破裂音のように瞬間的に強くするのではないのだ」と分かってきます。また「Sのあと切れ目が入らないで次の音につながっている」と言うことも分かってきます。 聞く練習も同時に行っているので、より細部まで聞けるようになるからです。

ところが、ただ聞いて真似をするだけの練習をしていると一度、「Sの発音は強い」と思い込んだら、そのあと、10年、20年、30年、英語を聞いても、「Sは強い」としか聞こえません。 その思い込みを「違う」と気づかせてくれるステップが練習の中に入っていないからです。 それで、自分の聞き取ったことだけで、聞くべき事の100%だと思い込みます。

そして、まさに、「自分は100%聞き取っている」という思い込みのために、「Sは強い」以上のことは、もう耳に入らなくなります。 その結果、Sだけ瞬間的に破裂音のように強くする発音になります。破裂音と言えばTやPのような音ですから、発音は短く、次の音と滑らかにつながりません。


聞いて真似しているだけでは耳の訓練にはならないのです。自分の内側に「何が違うのかを聞き分けよう」と言う意識(脳の働き)を持って聞くことにより、耳の能力は上がるのです。

自分の発音をお手本と比べて聞く、と言うことは発音を正しくしていく上で、とても大事なことです。

最初は大雑把なことしか聞けなくても、少しずつ扉が開くように細部まで聞けるようになります。

「違いを聞き取るという意識を持って聞く」練習を始めると、耳は最初とはまったく違う力を持つようになります。今まで、漫然と聞いていたものが、あるポイントにフォーカスして、聞くようになるからです。そうすると、ただ聞いて真似していたときには、得られなかったものが学習者の中に蓄積されます。これが何なのかは、「続・英語発音、日本人でもここまでできます。」の中で詳しく説明いたしましたので、詳細はそちらをごらん下さい。 

川合メソッドは自分の発音を録音してモデルと比べるところが面倒だと皆さんはお思いになっているかもしれませんが、「耳で聞いて脳で違いを認識する」、その練習こそが、耳の力を上げ、発音を正確にする役割を果たしているのです。



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高校入試で子供たちが親の収入によって差別されない為に以下のお知らせを書かせていただきます。

高校入試のスピーキングテストについて(大学入試のスピーキングテストについても同様です)

高校入試のスピーキングテストは本来文部科学省が学校教育で正しい発音を生徒に教えてから行うべきものです。  しかし、文部科学省が教科書にCDもつけず、正しい発音の仕方も学校で教えないまま、高校入試でスピーキングテストを実施する動きが都立高校などで始まっています。 (大学入試でもスピーキングテストが行われようとしています)  これは、スピーキングスキルの習得を塾や予備校、会話学校に丸投げするものです。  学校で教えていないスキルを入試でテストすることはあり得ません。

これでは経済的に余裕のない、塾や会話学校にいけない家庭の子供は誰にも正しい発音を教えてもらえず、練習するCD(音声モデル)も与えられないまま、高校入試でスピーキングテストをされることになり、明らかに親の収入による進路の差別が始まります。(詳しくは2018年3月8日のブログ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」をお読みください。)

皆さんの身近に教育関係者がいらっしゃいましたら、ぜひ「高校入試のスピーキングテストは子供を親の収入で差別するもの」であることをお伝えください。  (大学入試のスピーキングテストについても同じことです)  
15歳で親の収入のために進路を差別されるのでは子供たちがあまりにもかわいそうです。

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英語教育については、下のブログも併せてご参照ください。  日付をクリックすると移動できます。
2017年10月12日
文部科学省 新中学校学習指導要領 英語 「4技能」は全く効果がない(子供たちが通じる発音でスラスラ話せるようになる学習指導要領の見本付き)




高校英語教育を文部科学省の誤解に基づいた方針から守るため、以下のご案内を書かせていただきます。

現在文部科学省が「グローバル化に対応した英語教育改革」の目玉として掲げているCAN-DO方式は、ヨーロッパの人々にはできますが、日本語を母国語とする人にはできない方式です。

文部科学省は「CAN-DO方式が日本人には不可能な方式である」と気づいておりません。  導入されれば教育現場は大変迷惑します。  中止する必要があります。  なぜCAN-DO方式が不可能なのかはこちらのブログをお読みください。

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何度もお願いをしているのですが、アマゾンのページで私の本のランキングを下げて妨害をしている人がやめてくれないので、(詳細はこちらです)しばらく以下の文章を掲載させていただくことにしました。

「本を出版する人は、他の著者の妨害をしない。  他の著者を妨害する人は自分の本も出版できない。」
出版社におかれましては、このことを出版の際、著者に理解していただいてください。

私のランキングを妨害している人は、たぶん、現実を受け入れられないのでしょう。
アマゾンの順位を1ペ―ジ目から2ページ目に下げられ、数日でまた2ページ目から3ページ目に下げられて、私は、この方の激しい妨害に驚いています。 

「学習者に正しい発音を習得してほしい」というのが自分の目標でしたら、他人を妨害する必要はありませんね。  他人を妨害してまで、何を手に入れたいのでしょうか。  ベストセラーの著者という名声ですか。  それなら、もうアマゾンで、ご自身の本はベストセラーに認定されているのですから、それで十分でしょう。  この上何が欲しくて私を妨害するのでしょうか?  もう英語教育とは関係ないことですか。 私は、とても困っています。  

私は、こちらに書いてある3つのことをするのが、目的です。  日本人が子音の日本語化を知っているか、いないかで、通じる英語で話せるか話せないかが、決まります。  ですから、このことを読者の皆さんに理解していただくのは、とても大事なことなのです。  私の仕事の妨害をしないでください。 

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クマさん、ウサギさん、ブタさん、それぞれが持っている旗に書かれたことの理由は、2017年7月30日のブログをご覧になるとわかります。